壮一帆  撮影:奥村達也 壮一帆  撮影:奥村達也

1996年の日本アカデミー賞で13部門を独占した、周防正行監督による大ヒット映画『Shall we ダンス?』が、宝塚歌劇で初のミュージカル化。ショー『CONGRATULATIONS 宝塚!!』との2本立てで、雪組により上演される。兵庫・宝塚大劇場では99周年を締めくくり、東京宝塚劇場では100周年の幕開けを飾る本作。より一層気合いが入るトップスター・壮一帆(そう・かずほ)に、心境を訊いた。

宝塚歌劇雪組『Shall we ダンス?』チケット情報

壮が演じるのは、日本版で役所広司が演じた冴えないサラリーマン。18年目にして新たな役柄に挑んでいると言う。「ヘタレな男は演じたことがありますが、冴えない男は初めてかもしれないです(笑)。周りがとても個性豊かなキャラクターばかりなので、その中で主役として冴えない男をどう演じるのかということが今回の最大の目標です。大舞台で映画と同じように演じても伝わらないので、宝塚歌劇の主人公として、ある程度美しくなければならない。そこのバランスをうまく保ちながら演じていきたいです」

また、映画で草刈民代が演じたどこか影のある美しい女性に扮するのは、男役スターの早霧(さぎり)せいな。普段男役である早霧が壮の相手役を務めるのも、ひとつの見どころだ。「プロローグから早霧と一緒に踊るんです。最初の頃は少し違和感がありましたが、今は、踊っているときの呼吸やクセみたいなものもわかってきて、安心感が生まれています。楽しみにしていただきたいです」

続く『CONGRATULATIONS 宝塚!!』は、記念すべき年を祝うとびきり華やかなショーになる様子。壮はミュージカルで抑え気味の役を演じるだけに、ショーでは「思い切り弾けたい」と意気込む。「プロローグが終わったら、盛り上がりのシーンがずっと続くくらいエネルギッシュなステージ。客席下りもありますし、女役にも挑戦するので、その辺りも楽しみにしてください(笑)。お客様が求める宝塚歌劇の男役像、娘役像が遺憾なく発揮されているので、男役はより男らしく、娘役はより女らしく、それぞれの力がアップすることを目標にしてやっていきたいです」

99周年のラストステージであり、100周年の幕開けを飾ることについては、「とにかく自分たちが楽しみたい」と話す。「お芝居はライトなコメディで、誰もがハマり役。本読みの段階でも笑いが起きていました(笑)。真剣にやればやるほど面白くなると思うので、台本に忠実に演じていきたいと思います。ショーは常に“おめでとう!”とうたっているので、お客様も弾けられるように自分たちが目一杯弾けて、華々しいステージをお届けしたいと思います」

公演は11月8日(金)から12月12日(木)まで兵庫・宝塚大劇場、2014年1月2日(木)から2月9日(日)まで東京宝塚劇場にて上演される。

取材・文:黒石悦子