ジョゼ・モンタルヴォ ジョゼ・モンタルヴォ

パリ国立シャイヨー劇場『トロカデロのドン・キホーテ』来日公演が12月13日(金)より東京芸術劇場 プレイハウスで行われる。10月には振付家ジョゼ・モンタルヴォが来日、東京芸術劇場内で記者懇談会が行われた。

『トロカデロのドン・キホーテ』チケット情報

ジョゼ・モンタルヴォはパリ国立シャイヨー劇場のダンス・ディレクターで、ビジュアル・アートとダンスを融合させた斬新でユーモラスな作品が世界的に評価される異才。欧州ではローレンス・オリヴィエ賞をはじめ数々の賞に輝いている。2006年に来日したバロックオペラ『レ・パラダン』ではCGを駆使した映像やダンスをふんだんに盛り込んだ演出で、ダンスファンのみならず、オペラファンから喝采を浴びている。

題材にしたのは17世紀スペインの大作家セルバンテスの名作。スペイン人で母親がフラメンコのダンサーだったというモンタルヴォにとっては、『ドン・キホーテ』は思い入れの強い作品なのだという。「セルバンテスという作家にオマージュを捧げたい。セルバンテスは、いろいろなものを融合させる人。スタイルのミックス、あるいは古典とその時代の現代のものもミックスして作った方だと思うからです」

さらに「マリウス・プティパという振付家にもオマージュを捧げたい」と続ける。プティパはミンクスの音楽に『ドン・キホーテ』を振付けした19世紀最大の振付家だ。「プティパの作品を様々な方法でもう一度見直して、プティパのバリエーションを取り入れつつ、それをずらしたりしながら現代の作品にしたい」。もちろん、モンタルヴォらしさも健在。クラシックバレエに敬意を払いつつ、バレエのピルエットやヒップホップのヘッドスピン、タップダンスやフラメンコのサパティアードが様々な技法がジャンルを超えてステージ上で溶け合う。

映像を駆使したポップでカラフルな世界も相変わらずだ。“トロカデロ”のドン・キホーテは愛馬ロシナンテにまたがって、なんとパリのメトロに登場する。「ドン・キホーテは馬を使ったが、現代のパリだったら地下鉄を使ってあちこち行く。現代の乗客たちはほかのことを考えていたり、頭の中がからっぽだったりするわけです。逆説的に言えば、現実のメトロに乗って移動する中で、人は夢をみたりほかのことを考えたりして、自分の内側に入っていくようなことがなされてるのではないか。メトロの中なら、各人の特別な、その人そのものの今がそこにある。その日常を断片的に切り取れるのでないかと思ったからです」

セルバンテスの物語は「演出的に人種問題などを含めて悲劇的にもできるわけですが、私はユーモアや素晴らしいバレエへの讃歌を捧げたいと思っています」

公演は、12月13日(金)から15日(日)まで。チケット発売中。