最初から「10件達成するぞ、オー」という、偽りのポジティブ・偽りの前向きさでは成功できない。むしろ、10件達成できていないという「事実」を「今の自分のできないこと」として認める事が大切と後藤氏は語る。「自分の(今の)限界と、今できることを知ることが大切なんです。そしてそこを今のOKラインとするのがベスト」。

スポーツでもそうだが、人間誰でも最初から10段の跳び箱は跳べない。そこで10段に挑戦し続けても失敗し「否定感」を積み重ねるだけで、ストレスになる。最初は確実に跳べる段数に挑戦し、最終的に10段に近づいていく。「肯定感」を積み重ねることで、「プレッシャー」というストレスを感じても結果が出せるようになるというのが、リコレクトの考えるOKラインメンタルトレーニングのあり方だという。
 

感情はそもそもコントロールできないもの

次のストレスは、「緊張」である。後藤氏曰く、プレゼンテーションで失敗した人の事例を挙げて説明してくれた。

Aさんは会社の重大なプレゼンテーションに臨むにあたって、「スラスラと説明する。周りの人の反応を見る。資料に視線を落とさない」ことを心がけてプレゼンテーションに臨もうとした。上司からも「期待しているからな」と声を掛けられ、いつの間にか緊張というプレッシャーに押しつぶされていた。結果は失敗、「何も伝えられなかった」。それからプレゼンテーションというものが大嫌いになってしまった。

これも後藤氏は、「完璧なプレゼンテーション」にOKラインを設定してしまったことが失敗の原因であったと指摘する。資料に視線を落としても良いじゃないか、緊張して当たり前、という自分を受容することによって、OKラインを下げることをAさんに求めた結果、Aさんのトラウマとなっていたプレゼンテーションも上手くできるようになったという。

プレゼンテーションは、誰でもやる機会があるので、この変化は大きい。ここで大切なのは、「感情(この場合、緊張という感情)はコントロールできない。なら緊張に良いも悪いもない。当たり前のことだ。」と自分を受容することが最も大切なことと後藤氏は指摘する。