ジョシュア・マイケル・スターン監督

11月1日より公開される映画『スティーブ・ジョブズ』は、iPhoneやiPod、iMacといった革新的な製品を世に送り出してきたアップルの創業者、スティーブ・ジョブズの半生を描いた作品だ。なぜ作品を撮ることになったのか、また偉大なカリスマの人生を描くことにプレッシャーはなかったのか、ジョシュア・マイケル・スターン監督に話を伺った。

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本作のプロデューサーから監督依頼が電話でかかってきたとき、スターン監督は「かなり緊張しました」という。ジョブズといえば世界中に多数のファンを持つアップル製品のカリスマ。その彼の人生を映画にすることは、すさまじいプレッシャーでもあった。しかし、スターン監督はそれでも撮ることを選択する。彼を突き動かしたのは、「何かを恐れたときはそれに挑戦する」というポリシーであり、「それはきっとジョブズもそうでしょう」と笑う。自身も根っからのアップルユーザーであるスターン監督だが、それまでジョブズについては一般的に知られているレベルの知識しか持っていなかった。発表会での丸メガネに黒いTシャツ姿、そして人々を魅了する美しいスピーチ――。スターン監督はリサーチチームを結成し、知られざるジョブズの素顔に迫っていく。

その過程でスターン監督が興味を持ったのは、ジョブズの若い頃だった。大学でヒッピー生活を送っていた若者が、いかにして起業し帝国を築いていったのか。その波瀾万丈な半生を中心に映画化しようと決めた。主演のアシュトン・カッチャーもスターン監督に共感し、ジョブズになりきるためのあらゆる努力を惜しまなかった。見た目や仕草だけでなく、果物しか食べなかったというジョブズの食生活を取り入れ、体重を8kgも落とした。

そうやって映画が完成した今、スターン監督はジョブズとアップルの魅力について次のように語っている。「彼の作るものは直感的でシンプル。iPhoneにしてもiPadにしても、生活を簡単なものにしてくれるんです」。偉大なカリスマがいかにして世界を変えたのか。それは本作を見ればわかるはずだ。

『スティーブ・ジョブズ』
公開中

取材・文・写真:山田井ユウキ