ラストはキャラクターが自分で決める!?

こやま先生:ドラマを拝見すると、それぞれのキャラクターを俳優さんたちがものすごく理解をしようとしてくださっているので、それはすごくうれしいです。理解した上で自分なりに再現をしてくださってるんだなって思って観ています。

渡が牛乳を飲むとか、私の中ではない設定だったんですけど(笑)、渡役の中村倫也さんが作りこんでくださってるんだなぁって。里奈役の松本まりかさんも、全身全霊で嫌われ役をしてくださっていますよね。みんながそれぞれのキャラクターになりきろうとしてくださっていて、作品を生んだ甲斐があります。

中村:私も毎週楽しみに見ています! 今回の作品では原作ということですが、どのあたりまで携わっていらっしゃるんですか?

こやま先生:コマ割りから、表情やセリフを下書きくらいまで描いています。それを漫画担当の草壁エリザさんがキレイな絵にしてくださって。その出来上がりを見て、またこちらも展開を考えたり。

ドラマを観るときも、作ってくれたものに対して、じゃあこっちもこういう風にしてみようとか、どんどん還元していっていますよ。

中村:作品を作るときは、最初に着地点は決めてしまうものですか?

こやま先生:進む方向性は決めておきますが、最後に別れるかくっつくかまではわからないですね。もちろん最初は自分でキャラクターを作るんですけど、描いていくうちに、本当に存在しているように動いていきます。私が思う方向に行かせたくても、キャラクターがそっちに行かなかったりするんです。

私の意思で描いていても、最後はキャラクターの意思で決まるんですよ。

中村:へえ~~~!

こやま先生:だからいつも最後はわからないんです。里奈が石を投げるシーンも、本当はなかったんですけどね(笑)。

中村:勝手に石を投げた!?(笑)

こやま先生:勝手に石を投げたし、みんなの前で勝手に純平を下の名前で呼びましたね(笑)。

中村:やだ(笑)! でも里奈さんも人を依存させるのがうまいというか、コントロールするのがうまいですよね。

こやま先生:そうです、そうです。だから里奈を描くときに意識しているのは、絶対に自分の力では動かない。人を操って、人を動かす。

自分からは言わないんですよね「会いたいです」とか。「会えたらいいな~」って言います。

中村:は!! そういえば……(笑)。

こやま先生:麗華も自分から「純平さんとくっつけてあげる!」って言いだしたり、そういう風に人を誘導していくんですよね。ここはちょっとドラマとは違うところですかね。

こやま先生に聞く、魔性の女・里奈の本性

中村:私これ、ずっと気になっていることなんですけど……。里奈は純平さんと自分の子どもたち、どっちが大事なんですか……?

こやま先生:うーん。たとえば、子どもが死にそうな状況を放っておいて純平のとこにはいかないと思うんですよね。子どもが大事だから純平と一緒になりたいと思うし……。子どもを引き取れるのに、引き取らずに純平!とはなってないかと。

中村:そうなんですね……!(正気か里奈!)

最近のエピソードで、里奈が雪の中で待っている場面があるじゃないですか? これは誰に対してのパフォーマンスなんだろう?って思ってしまって……。本気で子どもを引き取れると思っているのか、そういう自分に酔っているのか? どっちなんだろうって。

こやま先生:なるほど。そういう見方もあるんですね。そういう意見が、次の動きのヒントになったりしますね。じゃあ今後、里奈と子どもについても描いていこうかな、とか。

中村:すごい!!!!(歓喜)

こやま先生:きっと里奈は、子どもは子どもで大事なんですよ。里奈は「自分の欲しいものを全部手に入れて幸せになりたい!」という感じの人ですかね。

編集さん:たぶん人によってキャラクターの解釈が違うんですよね。年代とか性別によって。

こやま先生:人によってキャラの見方が、本当に違いますよね。10代の男の子なんかは「俺は一生浮気なんかしない! 純平クソだー!」とか言ってくれます(笑)。私の周囲の40~50代の人は、それを見て「若いなぁ(笑)」って。でも自分も10代のときってそうでしたよね。年を取っても仲の良い夫婦でいたいなぁとか。

でも実際に結婚して何年も経たないとわからないことってあるから。ちょっと新鮮なときめきに目がいっちゃったりするんですよね。