<地域No.1店舗の売れる秘訣・PCワンズ>でんでんタウンで生き残る 大手とは異なる品揃えとサービス

2013.11.5 11:8配信

大阪・日本橋の「でんでんタウン」は、かつて日本の三大電気街の一角として、パソコンや組み立てパソコン用パーツを販売する専門店が多く軒を連ねていた。だが、ヨドバシカメラやヤマダ電機、ビックカメラなど大手家電量販店の出店によって衰退の道をたどった。今では、ほんのひと握りの専門店だけが生き残っている状況だ。そのなかの一つに、パソコン専門店のPCワンズがある。パソコン上級者を中心に多くのファンを抱える、知る人ぞ知る店だ。衰退した街で、なぜ成功しているのか。その要因は、大手家電量販店とはまったく異なる品揃えとサービスにあった。(取材・文/佐相彰彦)

PCワンズ

店舗データ

住所 大阪府大阪市浪速区日本橋4-12-1

売り場面積 290m2

主要客層 30~40代の男性

従業員 40人弱

●大手の進出で様変わりする勢力図 でんでんタウンへの来訪者が激減

日本三大電気街といわれていたでんでんタウン。現在は、かつて主役だった家電量販店やパソコン専門店がわずかに残るだけだ。これは、東日本を本拠地とする大手家電量販店がこぞって大阪へ進出したことが大きく影響している。

まず、2001年5月に地下鉄なんば駅前に、ビックカメラがなんば店をオープン。なんば駅を利用してでんでんタウンを訪れていたパソコンユーザーの多くがビックカメラでデジタル機器を購入するようになった。さらに同じ年の11月には、ヨドバシカメラがJR大阪(梅田)駅北口前に売り場面積約2万m2という超大型のマルチメディア梅田をオープン。JRや地下鉄、阪急電鉄や阪神電車のターミナル駅での出店とあって、たちまちのうちに市民に大阪駅前で家電を購入する習慣を根づかせた。さらに2006年には、ヤマダ電機が大型複合施設のなんばパークスと隣接する場所に約2万m2の売り場面積をもつLABI1なんばを出店。店舗はでんでんタウンの目と鼻の先だ。ビックカメラ、ヨドバシカメラ、ヤマダ電機の大手家電量販店による近隣地域への出店で、人の流れが変わったことは間違いない。

これに追い討ちをかけるように、2000年をピークにパソコン市場が成熟期に入り、これ以降でんでんタウンに店舗を構える家電量販店の経営悪化が相次いだ。また、主力商品だったパソコンや組み立てパソコン用パーツの取り扱いをやめ、ゲームやフィギュアなどを扱う店舗が増えた。これによって、「オタロード」の名称でサブカルチャーの街のイメージが定着し、電気街の要素が薄れていったのである。

●徹底した保証サービスを提供 何でも聞ける専門店を目指す

様変わりしたでんでんタウンのなかで、今もパソコンや関連機器の販売で業績を伸ばしているのがPCワンズだ。PCワンズを運営するワンズの鈴木礼代表取締役は、「『こんなサービスがあったらいいな』とお客様が求めていることを具現化している」と、成長の理由を挙げる。

その一つが、購入後の保証だ。パーツを組み合わせてパソコンをつくる自作パソコンでは、パーツ同士の相性が合わず、正常に動かないという事態が往々にして起きる。そこでPCワンズでは、購入後2週間以内なら、返金もしくは商品の差額交換、ジャンク品を除いた全商品が対象の初期不良交換、中古商品ではお客様の都合に合わせて返品を受け付けている。また、パーツ一式の無償修理期間を1年間延長する「AII One's保証」も提供。マザーボードに関しては、無償でBIOSを最新バージョンにアップデートするサービスも行っている。

このほか、パソコンのリフレッシュやアップグレード、自作パソコンのセットアップサービスも用意。保証やサポートのサービスメニューは、全部で20種類程度にも達している。鈴木代表取締役は、「お客様が困っていることを迅速に解決することで大手家電量販店と差異化を図っている」としている。お客様に対する徹底的なサービスの提供によって、リピーターを確保しているというわけだ。

スタッフの豊富な知識も、リピーターの確保につながっている。多くのサービスメニューを提供しているだけに、お客様からさまざまな問い合わせがあるが、きちんとトラブルシューティングをしたうえで、その結果をお客様に伝えている。お客様とのコミュニケーションを深めるこの活動は、新たなサービスの創造にもつながっている。

店内には、マザーボードをはじめケースや電源などのパーツがずらりと並んでいる。鈴木代表取締役は、「サービスと品揃えはバランスが大切。自作パソコンのお客様が多いので、パーツに関しては大型店舗に負けない品揃えをしている」と自信をみせる。

粗利率が高い中古品も充実。とくに中古スマートフォンに関しては、「お客様の『あの機種を使ってみたかった』という声を反映して仕入れるようにしている」という。さらに、階段には特価品を展示。お客様にとっては、店を訪れて掘り出し物を見つける楽しさがある。

パーツやパソコンに加え、今ではスマートフォン関連商品も販売。「デジタル機器の保証やサポートをもっと充実させて、将来はコンピュータ関連のことなら何でも聞ける専門店を目指す」という姿勢で、でんでんタウンの灯を守る。

●トップが語る人気の理由――鈴木 礼代表取締役

1999年の設立以来、移転を繰り返したが、そのすべてがでんでんタウンのなか。鈴木代表取締役は、「パソコンファンの来訪が減り、サブカルチャーの要素が入るなど、でんでんタウンは大きく様変わりしたが、ここにはここのよさがある」と述べる。大型店舗の出店によって、どの店でも取り扱っているパソコン関連機器などに関しては厳しい商売を強いられているが、「逆に当店でしか購入しないというコアなファンが増えた」という。なかには、他店で購入して故障したパソコンを持ち込んでくるお客様もいる。パーツやパソコンに関して、深い知識をもつスタッフを頼って来店しているのだ。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年10月28日付 vol.1503より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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