パフォーマンスユニットTWT『SANADA XI(サナダイレブン)』が、6月9日(金)~18日(日)に東京・吉祥寺シアターで上演される。稽古開始から3週間ほど経ったタイミングで、キャストの東拓海、結城伽寿也、吉武千颯の3人に現在進行形の想いを聴いた。

創立40周年を迎えた劇団S.W.A.T!が2005年に上演した戯曲をリバイバルし、同劇団座長の四大海(しだいかい)による作・演出、パフォーマンスユニットTWT主宰の木村孔三による演出・プロデュースで届ける本作。大坂冬の陣を舞台に、太閤・豊臣秀吉の忘れ形見である秀頼を守るために大阪城へ入ったサナダイレブン(真田幸村と十勇士)のおかしくも切ない奮闘が描かれる。

甲賀の忍術使いである猿飛佐助に扮するのは、東。「親も兄弟もおらず、師匠を亡くした佐助を拾ってくれた幸村に人一倍恩義を感じています」「他の十勇士が幸村の指示に反論しても、佐助は100%付き従う忠臣」とキャラクターを紹介する。幸村役の荒井敦史とも信頼関係が育まれているようで、「荒井さんは稽古場でバカ話してくれる懐の深いリーダー。僕ら十勇士を見守ってくれるたたずまいが幸村のままで、そのまま舞台上に現れても成立するんじゃないかな」と話す。

結城は、大坂夏の陣で命を落とす根津甚八役。「典型的な三枚目で真田十勇士のムードメーカー的な存在ですが、終盤では真摯に男らしく戦いに挑んでいく。そのギャップをお見せできたら」と意気込む。荒井“幸村”を稽古場でどのように盛り立てているか尋ねると、「敦史くんにしか醸せない貫禄で、僕ら一人ひとりに設けられた見せ場を尊重してくれているよね」とコメント。「十勇士のドラマを徹底的に見せることで、真田家の団結力を形にしていきます」と続く。

吉武は、十勇士の一人である雲隠才蔵のターニングポイントになる存在で、本作オリジナルキャラクターの福姫をトリプルキャストで演じる。「全18公演中、2回しか出られないのが惜しいくらい稽古が楽しい!」と笑顔を見せる一方で、その行く末に東と結城から「僕ら十勇士は本懐を遂げて死ぬけれど、福姫の無念を思うと心が傷むよね」と声が上がる。本人は「恋心をはじめ、さまざまな感情が押し寄せる様子を見ていただきたい」としつつ、「同じ役を演じる逢田(梨香子)さん、伊達(さゆり)ちゃんの芝居を見て勉強させてもらっています」と稽古場での日常を覗かせた。

史実をベースにした本格的な時代劇への挑戦は初めて、という3人。とはいえ「真田十勇士が現代にいてもおかしくないような普遍性が台本に散りばめられている」「形式的な時代劇ではありません」と声を揃える。さらに「初演から台本がアップデートされていて、きっと令和のお客さんにも“刺さる”内容になっています。ぜひお越しください」と作品の魅力をアピールした。ぴあでチケット販売中。

取材・文:岡山朋代