クロエ・グレース・モレッツ

現在、最も注目を集めるティーンスターであるクロエ・グレース・モレッツが主演最新作『キャリー』を引っさげ、3年ぶり2度目の来日を果たした。『キック・アス』(2010)の“ヒット・ガール”役で大旋風を巻き起こしてから早3年。すっかり大人っぽくなった(と言っても現在16歳の)モレッツは、スティーブン・キング原作にして、76年にはブライアン・デ・パルマ監督も映画化している本作について「映画版のリメイクという意識はない。あくまで原作の再解釈なのよ」とアピールした。

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本作は、学校にも家庭にも居場所のない少女・キャリーの抑圧された怒りが、巻き起こす惨劇をショッキングな表現で描き出す青春ホラー。モレッツは、自身が演じるキャリーという少女をこんな風に分析している。「いじめられっ子ではあるけれど、決して醜い存在ではない。いつも不安や悩み、痛みを抱えているせいで、自分の内にある美しさをうまく表現できないだけなの。その葛藤こそが、原作の描いている“核”だと思うし、演じる上でも一番意識した点ね」。

キャリーの母親を演じるのは、アカデミー賞候補の常連でもあるジュリアン・ムーア。そして、メガホンを執るのは『ボーイズ・ドント・クライ』でヒラリー・スワンクにオスカーをもたらした女性監督のキンバリー・ピアース。二人の存在はモレッツにとって、強力なサポートになった。

「ジュリアンと一緒にいると、自分でもビックリするような演技ができてしまうの。それに監督のキンバリーは、私やジュリアンを性的なシンボルとして利用しようとは一切しなかった。例えば男性監督なら『もうちょっと足を見せようか』なんて言い出しかねないわ(笑)。母と娘の関係性に強くフィーチャーした点も、女性監督ならではだと思う」。

セレブとして好奇の視線にさらされ、過度なストレスを感じれば、キャリーのように怒りを爆発させたくなるのでは? そう質問すると、くだけた表情で「幸い私は素晴らしい家族に恵まれているし、普段は映画を見たり、音楽を聴いたり、一般的なティーンと同じように時間を過ごしている。寝ているときなんて最高よね(笑)」と語り、16歳の少女らしい素顔ものぞかせた。

『キャリー』
11月8日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

取材・文・撮影:内田亮