日本最大のカメラの祭典「CP+ 2018」では、初めてカシオが出展を取りやめた

今年2月、デジカメ業界発の明るいニュースが久々に流れた。業界団体のカメラ映像機器工業会(CIPA)は、2017年のデジカメ出荷台数が前年を上回ったと発表。前年比3%増で2500万台回復という地味な数字ながら、7年ぶりの前年比増とあって、多くのメディアが取り上げた。

コンパクトの構成比は5割まで減少、主軸はレンズ交換型にシフト

しかし、主な要因は熊本地震で落ち込んだ分からの反動増。3%増に「とどまった」とみるべきで、とても厳しい結果だ。実際、CIPAも18年は3.4%減の2340万台と予測しており、市場縮小のペースは落ちついてきたが、依然として底打ちは見えない。

デジカメ市場の落ち込みの最も大きな要因は、コンパクトカメラの縮小だ。スマートフォン(スマホ)の台頭でその役割を奪われ、構成比はデジカメ全体の半分にまで落ち込んだ。

こうした背景から、日本最大のカメラ・映像機器の見本市「CP+ 2018」では、コンパクト専業のカシオ計算機が初めて出展を取りやめた。また世界初公開の製品を対象にした「ワールドプレミアアワード」では、コンパクトカメラの対象製品が1台もないという事態に陥った。スマホに対して白旗を上げた状態だ。

価格が安いだけのコンパクトがスマホに駆逐されるのは当然としても、小さくて使いやすく画質のいいカメラへのニーズは本当に消えたのか、レンズ交換を前提としたシステムが万人に必要なのか、疑問は残る。もう一度その使命をよく考えるべきだ。

交換レンズを揃え、大きなセンサのカメラで撮る楽しさは、もっと多くの人に広まってほしいところ。しかし一方で、しっかりと写真が撮れる、道具として作り込まれたコンパクトカメラの需要は依然大きい。露出補正やカラーバランス調整は一切不要、複雑怪奇なメニュー体系と格闘することなく、音声で一発設定でき、確実に美しく撮影できる、究極の道具としての小さなカメラ……そろそろ必要なのではないだろうか。(BCN チーフエグゼクティブアナリスト 道越一郎)

※『BCN RETAIL REVIEW』2018年4月号から転載

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