「プリンス・オブ・テニミュ」小越勇輝とは?

最後に、2ndシーズン一番の挑戦は、主人公・越前リョーマをこれまでの全公演、小越勇輝が演じていること。

ライバル7校との全379話(原作)のストーリーすべてを託されるプレッシャーのなか、座長で、そしてリョーマで居続ける小越に、この夏「プリンス・オブ・テニミュ」の称号が与えられた。それは、1000回公演を越えたテニミュに、これまで最多出演したから、というだけではない。言ってみれば、小越勇輝こそがテニミュ・2ndシーズンなのだ。

小越勇輝、4月8生まれ。血液型は0型。子役として『仮面ライダー電王』や『仮面ライダーキバ』に出演していたが、2011年、2ndシーズン開始時は舞台は初挑戦だった。それから3年近く、つねにクールなリョーマでいてくれた。
 

そんな彼がたった一度、素顔を見せたことがある。「青学vs立海」の千秋楽(2012年9月23日)の終盤、バラード『Good Bye Today』でのこと。2ndシーズンを一緒にスタートした青学6代目11人が、彼だけを残して卒業していく。

2年間の思い出が走馬灯のようにかけめぐるなかの、ソロパート。「俺は先へ行くよ 皆もそれぞれの道を歩めばいいさ」という、全国大会へ臨むリョーマだけでなく、これからもテニミュを引っぱっていかなければならない小越自身を歌ったかのような歌詞が、感極まって歌えなくなってしまったのだ。舞台では涙を見せることのなかった完璧な座長の、たった一度の涙。だからこそ、一番の感動を誘った。

さて今冬、12月19日からは「青学vs四天宝寺」公演が始まる。大阪の学校らしくノリが良いチームや、度肝を抜くお笑いテニス、野生児・金太郎とリョーマとの一球勝負など、お楽しみ満載の公演だ。


 

原作の物語を少し先取りすれば、この先リョーマは、対戦したプレイヤーの技を完璧にコピーし、ランダムに繰り出す「無我の境地」から、テニスをする喜びという根本に立ち返るある境地へと辿り着く。この物語展開は、2ndシーズンに関わったすべてのキャストやファンの思いを一身に背負ってきた「プリンス・オブ・テニミュ」小越勇輝の足跡と、よく似ていないだろうか? 

ストイックな努力に裏打ちされた確かな自信と、チャーミングな笑顔で、2ndシーズンを走り抜けてきた小越勇輝。彼の最後の表情が、「テニミュって楽しいじゃん!」と、わたしたちにあらためて思わせてくれる日を、今から心待ちにしたい。

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