無人店舗システムを開発するDeepblue Tech(深蘭科技)がイオンディライトと合弁会社設立へ(写真はDeepblue Techの「Take Go」)

無人店舗やスマート決済システムの開発が世界各国で加速している。2018年1月には、Amazon.comが米国のシアトルに無人コンビニ「Amazon Go」をオープン。実証から実用の段階にシフトしたことを印象づけたが、すでに中国ではいくつかの企業が無人コンビニを展開している。 その中でも、とくに有望と目されるのが、中国・上海に拠点を構えるDeepblue Tech(深蘭科技)だ。3月19日、イオンの子会社で施設管理などのIFM事業を手掛けるイオンディライトはDeepblue Techと合弁会社を設立すると発表。日中でAmazon Goに対抗する共同戦線を張る。

実用化進む「Take Go」 日本の展示会にも出展

Deepblue Techは無人コンビニ「Take Go」を開発するテックカンパニー。すでに中国EC最大手のアリババ(阿里巴巴集団)と飲料メーカー最大手のワハハ(娃哈哈)と組み、上海で無人コンビニ「Take Go」を運営している。

オーストラリアやニュージーランドの企業からも提携の働きかけがあるようだが、今回新たに設立する合弁会社の「イオンディライト ディープブルー テクノロジー カンパニー」も、イオングループが中国で運営する約430店にシステムを導入し、市場を拡大することが狙いだ。

実は3月6日から9日までの4日間開催された店舗向け情報システムの展示会「リテールテックJAPAN 2018」(日本経済新聞社主催)にも、Deepblue Techは出店していた。小規模ながら、ブースでは実際に「Take Go」をはじめとしたDeepblue Techのソリューションに触れることができた。

今回体験したのは「Take Go」のオープン式自販機だ。事前に決済システムと生体情報を登録しておくことで、人や端末を介在することなく買い物ができるというもの。トビラのセンサに手をあてると、静脈認証でトビラのロックが解除され、商品を取り出すと自動で決済が行われる。

個別の商品は、カメラによる画像認識で判別している。判別しているのは、商品の形状や色だけでなく、人が商品を取り出す動きも含まれるので、どんな取り方をしてもAIで正確にどの商品がピックアップされたかを認識する。試しに商品の出し入れを繰り返したり、複数の商品を同時に取り出したりしてみたが、AIを欺くことはできなかった。ちなみにセンサを手で覆うなどして隠すとアラームが鳴った。「Amazon Go」でも「不正を働くのが難しい」というユーザーの声を聞くが、「Take Go」についても同じことがいえそうだ。

販売の無人化は序の口 合弁会社が目指すのは“店舗まるごと無人化”

同様のテクノロジーは自販機だけではなく、無人レジや販売ボックスといったプラットフォームでも応用可能だ。現在は無人コンビニという形態がフィーチャーされているが、導入店のニーズに合わせた無人ソリューションがこれから数多く登場することになるのだろう。

合弁会社がフォローする領域もリテールにとどまらない。イオンディライトが公開した新しいビジネスモデルとして開発する「SmartFM」の概念図には、リテールと同列で、セキュリティ・クリーニング・パーキング・サービスといった項目が並ぶ。

未来の店舗の姿をより正確に想像するなら、商品に対する金銭の受け渡しだけでなく、店舗運営を丸ごと無人化できるようなトータルソリューションに目を配らせる必要がありそうだ。(BCN・大蔵 大輔)

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