(前列左から)鍵本輝、吉沢亮、桐山漣、 袴田吉彦(後列左から)佐々木喜英、森廉、平間壮一、諏訪雅、大堀こういち (前列左から)鍵本輝、吉沢亮、桐山漣、 袴田吉彦(後列左から)佐々木喜英、森廉、平間壮一、諏訪雅、大堀こういち

人気マンガ家、三宅乱丈のデビュー作『ぶっせん』が、7月より放映されたドラマ版に続き、舞台版として上演。11月6日、東京・赤坂ACTシアターで開幕した。その同日には、公開舞台稽古と会見が行われ、メインキャスト9人が現在の思いを語った。

講談山にある仏物専寺(ぶつぶつせんじ)は、資金繰りに困窮している貧乏寺。そこで再建資金を稼ぐため、仏教専門学園、通称“ぶっせん”を開園する。だがそこに入学して来たのは、ひとクセもふたクセもある個性派ばかり。中でも田中正助は、同じく講談山にある金々腹寺(きんきんぷくじ)から送り込まれたスパイにも関わらず、嘘がつけない、“バカ”がつくほどの正直者で…。そして仏物専寺僧侶の雲信と、山伏の丸慶のもと、ぶっせんでの学園生活がスタートする。

ドラマ版と同じキャストが、同じ役柄を演じるこの舞台版。小動物的かわいさとピュアさを持った正助役の吉沢亮を筆頭に、シド・ヴィシャスを愛するパンクロッカー・城役の桐山漣、さらに日本人形の“キャメロン”のお告げによりぶっせんに入学した渡辺役の鍵本輝など、それぞれがその特異過ぎるキャラクターをしっかりと自分のものとし、生き生きと舞台上を駆け回る。

またドラマ版との大きな違いは、歌やダンスが加わり、エンターテインメント色がグッと強まっているところ。特に圧巻なのは、ラストで披露される仏教ミュージカルだろう。かの有名な歌劇団を彷彿とさせるきらびやかなステージングながら、もちろんそこは仏教ミュージカル。ブッダを主人公に、“生きる意味”まで説いてしまうという、何とも壮大なショーなのである。

脚本・演出を手がけるのは、その笑いのセンスの高さゆえ、演劇界で厚い信頼を寄せられている福原充則。クスリと笑える小ネタを随所に挟みつつ、ショー要素もふんだんに盛り込み、しっかり大劇場サイズの舞台を作り上げる。しかも題材は、『ぶっせん』という極上のコメディ。笑いへのこだわりはさらに磨きがかかり、原作の面白さを見事2時間45分の中に表現してみせた。

本番前の会見で多く聞かれたのは、メンバーの仲の良さ。ドラマ版からの連投ということで、やはりチームワークはすでにバッチリな様子。また舞台版ではぶっせんの入学から卒業までが描かれるということで、雲信役の袴田吉彦が「僕たちの『ぶっせん』の集大成をぜひ観て欲しい」と語ると、それが全員の思いでもあるかのように、その場のキャストたちは皆、力強く頷いていた。

公演は11月17日(日)まで行われる。チケットは発売中。

取材・文:野上瑠美子