新次元に突入! ジャパニーズ・ホラーの傑作とは?

2013.11.11 17:15配信
『ルームメイト』 (C) 2013「ルームメイト」製作委員会

J・ホラーがようやく新次元に突入した。思えば『リング』( '93)、『呪怨』( '99)以降、どれだけ粗悪な類似作品が乱造されたことか。ホラーは監督の手腕を見せつけられるジャンルなのに、なぜ同じようなものばかりで、欧米のようなスタイリッシュな作品は作られないのだろう? そう思っていた矢先に、古澤健監督が『ルームメイト』でついにやってくれた!

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古澤監督は周知の通り、黒沢清監督『ドッペルゲンガー』( '03)の脚本(監督と共同)でその才能を開花させた若きホラー・マスター。とは言うものの、メガホンをとった2本のホラー映画、『オトシモノ』( '06)と『Anotherアナザー』( '12)はイマイチ不発だった。ところが、今回はどうだ!

この切れ味はなんだ!?事故に遭ったヒロインが女性看護師とルームシェアすることになるが、彼女にはもうひとつの顔が……といった展開は決して新しいものではない。けれど、古澤が本領を発揮、彼のホラーに対する美意識が全編に息づく本作では、その定番の設定が最恐のものへと進化している。

ホラー映画には美女が欠かせないが、ヒロインに扮した北川景子と謎の同居人を演じた深田恭子の美しさと魅力、持ち味を引き出しながら、それを恐怖のベクトルへ転化させているのが何よりも素晴らしい。北川が顔を歪めて怯えまくれば、深田はその目力を活かして多重人格のファム・ファタール(悪女)を楽しそうに怪演。彼女たちが各々の役割を的確にとらえ、完全に振り切っているから、その迫真が観ているこちら側の恐怖と緊張感を倍増させるのだ。

しかも赤いドレスやナイフをはじめとした反射するものなど、ヒッチコックやブライアン・デ・パルマの映画を彷彿させるアイテムを巧みに使い、『危険な情事』( '87)のあのおぞましいシーンを大胆にも拝借。ミスリードさせる人物の配置や光と影の使い方も絶妙で、最後の最後で物語をガラリと反転させて別次元の恐怖にヒロインと観客を突き落とす鮮やかさ! その底知れぬ怖さと言ったら……なのに、その後味には従来のウェットなJ・ホラーにはない突き抜けた清々しさが。

この新次元の恐怖はホラー映画嫌いの人にもぜひ体感して欲しい。

『ルームメイト』
公開中

文:イソガイマサト

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