戸田恵梨香、加瀬亮

11月1日に公開された『劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 漸(ゼン)ノ篇』と、29日(金)に公開になる『爻(コウ)ノ篇』でもって完結を迎える『SPEC』シリーズ。ここまでシリーズを引っ張ってきた主演の戸田恵梨香と加瀬亮が改めて本シリーズを振り返り、思いを語った。

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“スペック”と呼ばれる特殊能力を軸にした事件、そしてガサツでKYな天才刑事・当麻紗綾と元特殊部隊の隊長で肉体派のキレやすい刑事・瀬文焚流という「ふたりともS(笑)」(加瀬)の刑事コンビ――何もかもが異色で新鮮だった。

3年半。連続ドラマ、スペシャルドラマに劇場版と当麻を演じ続けてきたこの時間を戸田は「長かったような、あっという間だったような――。濃厚な時間を過ごしてきたんだなと思います」と惜別の念をにじませながら述懐する。もちろん、その間に別のドラマや映画にも参加している。それでも「作品を離れていても、いつも当麻が自分の中のどこかに居続けたと思います」と語る。加瀬もそんな戸田の言葉にうなづき「実際、ひとつ作品が終わっても監督や共演者とは常に連絡を取り合ってもいたし、周囲からの反応も他の作品以上に多くて、常に作品も瀬文もそばにあったなと思います。何より、自分の役だけでなく未詳(公安第五課 未詳事件特別対策係)のメンバーだったり、他のキャラクターに対する愛着が異常にありました。自分の中でも不思議な感覚、体験でした」と特別な思いを明かす。

主演ふたりがこれまでのイメージを完全に覆す役柄に挑戦したという点でも本作は異色だった。いや、単にふたりが新境地を開いたというだけではなく、このふたりが起こす絶妙な“化学変化”がファンを熱狂へと導いたのだ。「ふたりの掛け合いの面白さは確実にありました。シリーズをいくつ重ねても、演じている最中におかしくなってクスクス笑ってしまったり(笑)」と戸田。加瀬は「やってる最中は本当にムカつくんですよ(笑)。でもあのふたりのやりとりは大好きです」と語る。

3年半もの間、作品を共にしてきての戸田と加瀬、ふたりの関係は?と尋ねると戸田は「当麻と瀬文のように、どこかで繋がってると思います。信頼をしてるのはもちろん、顔を見ると安心するんです」と年上の“相棒”への思いを口にした。加瀬は当初、戸田について“問題児”というイメージを持っていたことを明かし、かつそれを「面白そうだ」と感じながら楽しみに現場に入ったというが、実際に仕事をして「問題児どころか、こんなに真っ直ぐに仕事に向き合う人がいるのかと衝撃を受けた」と明かす。「初期の頃から信頼を置いていたし、影響も受けたし今回の『結』にいたっては、完全な安心感の中で演技ができました」と称賛する。

願わくば、異なる関係性でふたりが再びあいまみえる日が来ることを…。まずはふたりが本シリーズにどのように幕を下ろすのか? 見届けてほしい。

『劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 漸ノ篇』公開中
『劇場版 SPEC~結(クローズ)~ 爻ノ篇』11月29日(金)より全国東宝系にて公開

取材・文・写真:黒豆直樹