ライブ配信が主たる集客方法だったeスポーツ業界に、新たな可能性がみえてきた。4月から始まる芸能人女性タレントのeスポーツクイーン決定戦「e-Sports Queen League(EQリーグ)」は、ライブ配信を行わず、会場での観戦を重視した大会になるという。
ゲームを使った競技「eスポーツ」は、2022年に中国・杭州で開催する「アジア競技大会」の正式メダル種目に採用されており、将来的には五輪の正式種目化を目指すなど、世界で注目を集めている。オランダの調査会社Newzooは、18年には放映権などメディアライツの売り上げが1億6070万ドルに達すると予測、ビジネスモデルのなかでも動画配信は大きな割合を占めるとしている。
そうした状況のなか、リアルでのイベントを前面に押し出す狙いについて、EQリーグ準備委員会の松本順一氏は、「音楽ライブの市場が伸びているように、ゲームイベントにも現場でしか得られない経験があるはず。ゲームエンターテインメントの新たなビジネスモデルとして、可能性を探っていく。ゲームのライブビジネスが普及したら、EQリーグはそのシンボルにしたい」と目標を話す。
音楽業界においては、CDやDVD/BDなどのパッケージ生産数が4年連続で落ち込む一方、ライブビジネス(興行)は10年で売り上げが3倍に拡大している。コンサートプロモーターズ協会によると、興行の年間売上高は07年が1040億円だったのに対し、16年は3100億円にまで伸びた。今後は、ゲーム業界・eスポーツ業界でも同じ現象が起きる可能性がある。
ライブイベントであるEQリーグの集客には、ゲームタイトルだけでなく、女性タレントの魅力にかかっている。松本氏は、「プロのすごい技というよりも、エンターテインメント性に富んだeスポーツ大会になる。ゲームタイトルは初心者でもすぐに馴染めて、やり込み要素があるものを選んだ。タレントたちが、観客といかにコミュニケーションをとって盛り上げてくれるかに期待したい」とコメントした。
EQリーグに出場するDS☆ゲーム部(ディアステージ)の古川未鈴さんは、「海外の大会をみると、会場は大変な熱気に包まれ盛り上がっている。選手に対するリスペクトもすごい。eスポーツはあまり盛り上がっていない、といわれている日本の現状を変えるため、『ゲーム=スポーツ』のイメージをつくる一助になりたい」と、大会に向けた意気込みを語る。eスポーツを盛り上げるために戦うゲーマーは、プロだけではないようだ。(BCN・南雲 亮平)
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