「中古端末の普及には、消費者不安の払拭、認知度不足の解消」が必要という意見があがっている

都市部では一家に1台だが、地方では免許保有者一人につき1台といわれる自動車は、実は新車より中古車マーケットのほうが大きい。同様に、携帯電話も一人につき1台必要で、家族の人数が多いと家計に占める負担は大きい。総務省や業界団体が進めようとしている「赤ロム」対策や個人情報の完全消去などの買取時の信頼性強化だけで、はたして中古スマホは根付くのか。

高額なクルマは中古市場が隆盛 台数ベースでは新車を超える規模

業界団体の統計によると、普通車、軽自動車とも、新車より中古車のほうが年間販売台数は多い。次世代の5G通信サービスとあわせ、自動運転やEV(電気自動車)が話題になっているが、実需は、税金やリサイクル料などを含め、新車に比べると断然安い中古車に集まっている。

総務省は、2017年末から4回にわたって「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」を開催し、スケジュールでは、今年春頃をメドに検討結果の取りまとめが公表される予定。現状の課題や、MVNOのさらなる普及などについて議論を交わすなか、「中古端末の普及には、消費者不安の払拭、認知度不足の解消」が必要という意見があがり、現状の中古端末が伸び悩んでいる要因や、中古端末のSIMロック解除不可による影響が利用者に出始めた現状などについても言及した。

取りまとめでは、おそらく、より中古端末を強く推進する方向性が示され、現状の懸念点は、総務省や17年3月に発足した業界団体リユースモバイル・ジャパン主導で順次改善されるだろう。

中古スマホは誰のため?

国内ではAppleのiPhoneが圧倒的な人気を誇るため、自社のSIMカードとのセット端末として、メーカー整備済みのiPhone・中古iPhoneを取り扱うMVNOは多い。リアル店舗はともかく、オンラインショップなら新品/中古の扱いはフラットで、購入時に劣等感は感じにくい。また、ブランド品のファションアイテムなどの即時買取アプリのブームに乗り、スマホ限定フリーマーケット「スマホのマーケット」の一部として、スマホ専門の即時買取サービス「スママDASH」も登場した。資源を有効活用するリユース・リサイクルの観点からも、中古市場に対する期待は大きい。

とはいえ、カメラなどの基本機能やバッテリの持ち時間の改善といった性能アップに見合った新型の端末価格は高騰傾向にある。その一方で、貯蓄や毎月のフロー収入から「安い中古スマホしか選べない」層が増えるなら、二極化が進む可能性も大きい。そうした点からも、取りまとめの内容に注視したい。(BCN・嵯峨野 芙美)