『メリリー・ウィー・ロール・アロング』稽古場の模様 『メリリー・ウィー・ロール・アロング~それでも僕らは前へ進む~』稽古場の模様

この11月に日本初演を果たす『メリリー・ウィー・ロール・アロング~それでも僕らは前へ進む~』は、小池徹平のミュージカル初挑戦作品。演出の宮本亜門が長年上演を熱望していた今作は、『ウエストサイド物語』などで知られるミュージカル界の巨匠・スティーブン・ソンドハイムが作詞作曲を手掛ける話題作だ。ブロードウェイの第一線で活躍することを夢見る若者たち。真面目な脚本家のチャーリー(小池)、彼とタッグを組む作曲家のフランク(柿澤勇人)、そしてふたりの理解者であるライター・メアリー(ラフルアー宮澤エマ)。この3人の成功と挫折を40代の現在から20代へと遡る形で描く。10月のある日、白熱するこの作品の稽古場を覗いた。

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大きな円形の周り舞台がしつらえられ、そこにグランドピアノが置かれた稽古場。本番ではセットに映像を映し出すということで、すべてがグレー一色に塗られている。キャスト、スタッフめいめいが稽古前のチェックや自主練習を行っているなか、小池は片隅で台本に集中している様子。と思いきや、近くではしゃぐ子役の会話に自然に入り、時にはツッコむ余裕も見せる。さらに稽古場内を移動する先々でキャストたちに声をかけたり、笑顔を向ける姿も。稽古に入る前、「同世代の役者たちと一度に共演できることがうれしい。せっかくの機会だから、全員としっかり関わりたい」と語っていたことを体現するかのような動きだ。

この日は一般の観客による稽古場見学も予定されていた。20人ほどが隅の椅子に腰かけると、さっそく本格的な稽古がスタート。オープニングの『Merrily We Roll Along』が鳴り響き、キャストが歌いながら一斉に飛び出してくる。大きなジャンプやバック転などの動きもあり、冒頭から一気に華やかな空気が満ちるステージ。会見などでは歌の難しさを口にすることもあった小池だが、ハイトーンボイスの歌声は耳に心地いい。

続いて、オープニングから8年ほど遡り、1968年頃のフランクとチャーリー、メアリーの3人を描くシーンの稽古へ。ブロードウェイで活躍することを夢見てお互い励まし合ってきた無二の親友同士の3人が、気持ちのずれを感じている。それを修復しようと友情を確かめ合う一曲がこの『Old Friends』だ。はじまるや否や、最初のセリフを忘れる小池。すかさず演出の宮本が観客に対し「本当に久しぶりの稽古なんです」と説明し笑いが起こる。しかしその後は一言一句間違えることなくスムーズに進んだ。明るく歌い踊る3人の姿に、他のキャストからは歓声も。キャスト、スタッフ同士の信頼が伝わってくる稽古に、本番への期待が高まった。

『メリリー・ウィー・ロール・アロング~それでも僕らは前へ進む~』は11月17(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、12月6日(金)から8日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。チケットは発売中。

取材・文:釣木文恵

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