左から、片岡愛之助、市川猿之助 左から、片岡愛之助、市川猿之助

来年1月東京・浅草公会堂で上演する「新春浅草歌舞伎」の製作発表が11月16日、都内で行われ、市川猿之助、片岡愛之助が会見に登場した。

新春浅草歌舞伎 チケット情報

毎年若手花形が出演することで人気の新春浅草歌舞伎。若手歌舞伎俳優の登竜門としても知られる興行だ。猿之助は亀治郎時代に12回出演、猿之助襲名後初めて浅草に登場する。「浅草歌舞伎は亀治郎にとって大きな根っこのひとつ。猿之助襲名のご報告とともに浅草の地にご恩返しができたら。若手の後輩たちが出てくれますが、我々も浅草で育てていただいた。どうか彼らにも役者として力をつけていただきたいと思う」。愛之助は5年連続9回目の出演。「私の人生のターニングポイントとなった公演、たくさん勉強させていただいた。今年で41歳、この世界では四十五十は洟垂れ小僧とは言いますが、いつまでも若手の位置に陣取っていては後輩が育たない。彼らを支えともに成長していかなければ」と、ふたりは本公演へかける思いを語った。

猿之助は自主公演で初演した2演目『上州土産百両首』『博奕十王』に出演。『上州土産百両首』は堅気になろうと誓い合った幼なじみのふたり、正太郎と牙次郎の友情と運命を描く作品。猿翁(三代目猿之助)も演じた正太郎を当代が本興行で初めて勤める。「浅草歌舞伎にちょうどよい重さの演目。古典とまた違ったよさもあり、歌舞伎らしさもある。若い方にもわかりやすい」(猿之助)。『博奕十王』は1970年に初演した猿翁作の舞踊劇。当代猿之助が自主公演で41年ぶりに復活上演した。猿之助は「これを見ていただくことで猿翁はこんなに偉大な役者なんだと世間にアピールできたら。そのためにもどんどんやっていきたい」と意気込んだ。

一方の愛之助も2演目に出演。源義朝敗死後に弟の木曽義賢がたどった運命を描く義太夫狂言『義賢最期』で義賢、梅川忠兵衛の悲恋を描いた上方和事の名作『新口村』で初役となる忠兵衛を演じる。『義賢最期』では見どころのひとつ、迫力の立ち回りで魅せる。「立ち回りがすごいと言っていただいてますが、上演を重ねるごとにそこに行き着くまでの武士の生き様や忠義について興味が出てきた」、初役の忠兵衛については「忠兵衛は十三世仁左衛門の相手役としてずっとその芸を見ていた父、秀太郎が教えてくれた。教わったとおり勤めます」と話した。

1月2日(木)から26日(日)まで東京・浅草公会堂にて。チケットの一般発売は11月20日(水)午前10時より。