来月からは、いよいよ春の新アニメが一斉にスタート! 名作、良作が数多く世に生まれた冬期に続き、春作品も期待値の高い作品が揃っています。

そうした作品から観たいアニメを選ぶ際、色々な判断基準があるかと思いますが、今回、筆者が注目したいポイントが監督のお名前です。

人気漫画のアニメ化に挑むベテランクリエイターの作品や、有名監督が手掛けるオリジナル作、職人気質な仕事ぶりが光るアニメ監督の新作まで、2018年の春アニメは、その豊かな作品性に比例するように、各作品毎の監督の顔ぶれもバラエティに富んでいるのです。

そこで、今回は、筆者がプッシュする8作品を各監督毎の作風と併せてご紹介したいと思います!

難波日登志 監督の『ゴールデンカムイ』

監督/難波日登志、シリーズ構成/高木登、キャラクターデザイン/大貫健一

アニメ界のベテランクリエイターである難波日登志監督がこの春に送る新作が『ゴールデンカムイ』です。

巨額の埋蔵金を巡って、明治時代末期の北海道を舞台に個性的(過ぎる)登場人物たちがサバイバル戦を繰り広げる人気漫画をアニメ化した作品で、制作は、ジェノスタジオが担当しています。

近年は、人気スマホゲームをアニメ化した『Fate/Grand Order -First Order-』に、HoneyWorksの楽曲から派生したメディアミックス企画の『いつだって僕らの恋は10センチだった。』と、"ユースカルチャー"なアニメ作品で監督・総監督を務めてきた難波監督。

それらの仕事に加えて、"三條なみみ"名義での各作品への絵コンテ参加など、若々しく、精力的な創作活動で知られる同監督によるテレビシリーズということで、否が応でも期待が高まります。

唯一、気になるのは、お下劣な描写が多い原作をアニメでどこまで表現できるのかなのですが……そこは、かつて、お下品ギャグとお色気ネタ連発(でも、少年漫画として最高におもしろい!)な『ジャングルの王者ターちゃん』をゴールデンタイムで見事に映像化した経験もある難波監督。過激な表現でも真摯な作品作りへと落とし込む、その手腕を本作でも発揮してくれると思います。

渡辺歩 監督の『グラゼニ』

監督/渡辺歩、シリーズ構成/高屋敷英夫、キャラクターデザイン/大貫健一

『週刊モーニング』で連載中の『グラゼニ』は、野球選手のお金にまつわる悲喜こもごもなエピソードを中心にして、プロ野球のシビアな世界を描く異色のスポーツ漫画。

アニメ版の監督を務めるのは、『ドラえもん』での仕事の数々や、『謎の彼女X』『宇宙兄弟』といった監督作の数々でアニメファンに知られる渡辺歩さんです。

冬期アニメでは、『恋は雨上がりのように』で、ウェルメイドかつ贅沢なアニメーションでファンを魅了した渡辺監督が、『グラゼニ』の世界をどう描くのか?

同監督とスポーツという組み合わせも実に新鮮で、とても興味を惹かれます。

本年度の渡辺監督は、『恋は雨上がりのように』に続く『グラゼニ』と並行して、『メジャーセカンド』の監督も兼任しており、その旺盛な仕事ぶりが本作にどのような影響を与えるのかも大いに気になるところ。

ちなみに、『グラゼニ』の主人公である凡田夏之介が所属するプロ野球チーム「神宮スパイダース」は、昨年、断トツの最下位でシーズンを終えた東京ヤクルトスワローズがモデルであり、スワローズファンの筆者としては、同チームの再起と共に、本作のヒットを……いや、"特大ホームラン級のヒット"を心より願っております。