熊林弘高  撮影:源 賀津己 熊林弘高  撮影:源 賀津己

2010年、若き才能ある演出家が、ある作品を契機として、一気にメジャーシーンへと躍り出た。tpt『おそるべき親たち』を演出した熊林弘高。この作品以前の演出キャリアは、わずか5作品。その彼が、実力派のキャストを堂々率いて放ったこのコクトー劇は、この年の文化庁芸術祭賞演劇部門の大賞に輝く成果を生み、また、演出家自身も、毎日芸術賞千田是也賞に選ばれた。ひとり息子を溺愛する母親が、わが息子初めての恋人に、激しく嫉妬する。その恋人は何と、この一家の父親の愛人と同一人物だった……。2014年3月、すべてが歪んだこの家庭劇に改めて挑む演出家・熊林弘高に話を訊いた。

『おそるべき親たち』チケット情報

2010年版は、大きな反響がありました。
熊林弘高「びっくりしました。ただ、作品としては、しっかり手ごたえがありましたね。お客さんがうなぎのぼりに増えていった。最後の何日間かはチケットがまったくない状態。うれしかったです」

この戯曲の演出の見通しは、はじめから見えていましたか。
熊林「ラストシーンかファーストシーンがひらめいたら、「これはやれる」と確信できます。この戯曲で言えば、ラストシーンのひらめきでした」

未見の方のために、具体的には書きませんが、大胆でエロティックな着想ですね。
熊林「キャスト全員に、ラストはそのようにエロティックな描き方になるとあらかじめ言っておいて、どうするかみんなで話し合ったんです。翌日、そのシーンを演じる麻実(れい)さんと満島(真之介)さんのふたりだけに来てもらって、そこで出た麻実さんのアイデア通りに演じました。稽古時間は1時間取ってありましたが、10分で終わった。生々しいシーンです」

性的にアグレッシブなシーンは、意識的ですか。
熊林「ヨーロッパの巨匠演出家ペーター・シュタインが、かつて「芝居におけるすべての関係性はエロスだ」と発言したそうです。自分にとって座右の銘ですね。「おそるべき親たち」は、まさにこの言葉通りの作品だと思います」

2010年版は、大きな反響がありました。
熊林「衝撃を与えるつもりなど全然なくて、自然な流れでできた作品なんです。前回をなぞらず、もう1回、同じスタッフ、キャストとともに、一からの気持ちでのぞみます。キャスト5人それぞれに、3年の月日が経っている。当然、考え方も表現も変わっていくはず。どうなるだろう、という楽しみがあります」

2014年3月2日(日)から16日(日)まで東京芸術劇場 シアターウエスト、3月21日(金・祝)愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール、3月29日(土) ・30日(日)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて。公演チケットは東京公演が発売中、大阪公演が12月1日(日)午前10時より一般発売開始。チケットぴあでは大阪公演のインターネット先行先着「プリセール」を実施中、11月30日(土)午後11時59分まで受付。