海洋冒険家に聞く『キャプテン・フィリップス』

2013.11.27 14:40配信
『キャプテン・フィリップス』について語ってくれた白石康次郎氏

名優トム・ハンクスがポール・グリーングラス監督と初タッグを組み、2009年にソマリア沖で起きたコンテナ船襲撃事件を映画化した『キャプテン・フィリップス』が29日(金)に公開される。船長だったリチャード・フィリップスの回想録をもとにしたこの迫真のノンフィクション映画について、海洋冒険家の白石康次郎氏に話を聞いた。

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映画では、武装した海賊4人が米国籍のコンテナ船からフィリップス船長を人質にして逃亡、アメリカ海軍による救出作戦が行われた4日間の出来事が描かれる。しかし、同じような事件は海の上では日常茶飯事だと白石氏は言う。「ソマリア沖は近年になって海賊行為が増えている海域ですが、フィリピン沖は昔から海賊が非常に多い海域。僕もインド洋から日本に向かうときは、フィリピン沖を避けてわざわざオーストラリアの南から回り込むんです。荒れる海より人間の方が危ないですから」。

本作を鑑賞して特に驚いたのは、海賊の描写のリアルさだったという。「海マニアとしては、トム・ハンクスより海賊の名演技に目がいきました(笑)。貧しくて痩せた身体、汗のかき方や焦り方など、本物にしか見えません!」。実際白石氏もアフリカ沖で海賊に遭ったことがあるという。「海賊2人がレース艇まで泳いで乗り込んできたんです。痩せた10代の少年で、1人はナイフで1人はピストルを持ってました。ピストルはニセモノだと見てわかりましたけどね。船に木刀を積んでいて、同乗していたカメラマンが襲いかかったら逃げていきましたが」。

襲撃に遭った時は「カネで解決しようと思っていた」という。「彼らはテロリストじゃない。映画の中でトム・ハンクスが“ビジネスをしよう”と申し出るように、あくまでも金儲けが目的なんです。だから日本の船は狙われやすい。日本の船は海軍が助けにきてくれるわけじゃないですしね」。

白石氏はさらに「日本の資源は98%が船で運ばれてくる」と指摘する。「原油にいたっては100%が海運に頼っている。海の上は思った以上に混雑していて、海峡などではタンカーや貨物船が数珠つなぎになって進んでいます。全部の船を守りきるなんてムリな話ですし、特に日本は経済を海運に依存しているのに、なんの対策も打てていないのが現状です。この映画を観て、僕たちの日本も抱えている大きな問題なんだと認識してもらえると嬉しいです」。

取材・文:村山章

『キャプテン・フィリップス』
11月29日(金)全国公開

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