長瀬智也と渡部篤郎は13年前も「三億円事件」で共演

三億円事件を扱ったドラマは過去にもいくつかあるが、『クロコーチ』の主人公・黒河内を演じる長瀬智也は、2000年にフジテレビ系で放送された単発ドラマ『三億円事件~20世紀最後の謎~』にも出演していた。

この時に主犯であり、実行犯を演じたのがビートたけし。長瀬智也は犯人グループのひとりで、ジョーという不良少年役だった。

この作品は、ルポライターが三億円事件の真相を追っていく形で描かれるのだが、そのルポライター役が『クロコーチ』では沢渡を演じている渡部篤郎だった。しかも、その時の役名は、なんと今回と同じ沢渡。これは果たして偶然なのか……。

いずれにしても、13年経って、長瀬智也は犯人グループから真相を追う刑事へ、渡部篤郎は真相を追う側から真相を闇へ葬る側へ回ったということだ。

今期のドラマでは、テレ朝系の金曜11時15分から放送されていた『都市伝説の女』でも、第4話で三億円事件が扱われていた。途中で時計が10時を指すシーンがあって、その時に『クロコーチ』で使われているホルストの「木星」が流れたりしたので、明らかに『クロコーチ』は意識していたと思われる。

一話完結スタイルのコメディミステリーなので、三億円事件の謎もあっさり描いていたのだが、このドラマでも警察が意図的に真相を明らかにしていないことになっていた。

ここで実際の三億円事件を簡単におさらいしておこう。

三億円事件というのは、45年前に白バイ警官を偽った犯人が、現金輸送車に積まれた三億円を車ごと盗んだ事件。三億円のうち500円札2000枚はナンバーがわかっていたため警察が公表したが、その紙幣が世の中に出回ることはなかった。

この事件には当時19歳だった少年Sと呼ばれる容疑者がいた。彼は車両の窃盗を繰り返す非行少年グループのリーダー格で、父親が白バイ隊員だった。しかし、事件の5日後に自殺。捜査対象から外された。

複数犯説や、逃走車両にイヤリングが残されていたことから犯人グループには女性がいる説などが浮上したが、未解決のまま時効を迎えている。時効成立後、自分が犯人だという人間が複数現れたが、三億円といっしょにジュラルミンケースに入っていたある物(未公表)が何かを答えられずに、狂言と断定されている。
 

『都市伝説の女』

『都市伝説の女』では、犯人グループの男性と女性の間に生まれた娘の子、つまり、犯人グループの孫にあたる女性(市川由衣)が登場し、彼女が時価換算した三億円を警察から受け取るという結末だった。

要するに、主犯が警察関係者だったため、警察は事件を隠蔽。ところが、45年経って犯人グループの孫が盗まれたはずの500円札を持って現れ、さらにジュラルミンケースに入っていたある物も言い当てたため、口止め料として三億円を払ったというような内容だった。

ちなみに、2000年に放送された『三億円事件~20世紀最後の謎~』では、元白バイ警官だった松田(ビートたけし)が単独で実行したことになっていた。犯人グループの不良少年、ジョー(長瀬智也)とロク(松田龍平)は最終的には犯行に加わらず、のちにいさかいが起こってジョーがロクを殺してしまう流れだった。ドラマにはジョーの彼女である女性・吉川も登場していて、瀬戸朝香が演じていた。