KDDIは3月27日、次世代通信技術「5G」に対応したタブレット端末を利用した、大容量映像伝送システムを公開した。同日都内で開催された「5G国際シンポジウム2018」の会場で、28GHz帯の電波を実際に利用してデモンストレーションを披露した。

タブレット端末はサムスン電子製。同社製の5Gモデムを内蔵しており、最大で約3Gbpsの高速通信が可能。2月の平昌五輪で韓国の通信事業者・KTが実施した5G試験サービスにおいて、サムスンは5G対応タブレット端末を提供していたが、今回KDDIが公開した端末はそれと同等機種だという。これまで国内で公開された5G通信実験では大型の試験用機器が端末として使われており、5G対応のタブレット端末が一般公開されるのは初。

KDDIは今年3月5日から9日まで、沖縄・那覇市内の沖縄セルラースタジアム那覇で、観客席に設置した50台のタブレット端末に対して映像を配信する実験を実施し、28GHz帯の5G通信を利用して4K映像のリアルタイム伝送に成功した。27日のシンポジウム会場でも同様の実験を公開し、25台の端末に異なる映像コンテンツを同時配信した。

スポーツの試合や音楽コンサートなどのイベントで、観客の手元にある端末に対し、選手やアーティストの高精細映像をリアルタイムで配信する使い方を想定。複数のカメラで映像を撮影し、観客が好きな視点を選んで視聴するといった楽しみ方にも対応する。

5Gは2020年までに実用化することが見込まれており、東京五輪・パラリンピックでは高速・大容量の通信技術を活用した新たな観戦スタイルが実現するもよう。米国や韓国では、一部の通信事業者が5G導入を19年以前に前倒す動きもみられる。(BCN・日高 彰)