上岡敏之 新日本フィルハーモニー交響楽団  音楽監督 (C)武藤章 上岡敏之 新日本フィルハーモニー交響楽団  音楽監督 (C)武藤章

上岡敏之の音楽監督3年目となる新日本フィルハーモニー交響楽団の2018/19シーズン定期演奏会ラインナップが決定、上岡やソロ・コンサートマスター崔文洙らが出席して発表会見が開かれた(3月26日・すみだトリフォニーホール)。

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宝石の名前を冠した3つのシリーズ、「トパーズ」(8プログラム16公演)、「ジェイド」(8プログラム8公演)、金曜と土曜に開かれる、午後のシリーズ「ルビー」(8プログラム16公演)で構成される新日本フィル定期。

「はっきりした色ではなくグレー系で統一した」(上岡)という「トパーズ」は、楽団の柱とも言える、本拠地すみだトリフォニーホールでのシリーズだ。上岡は、9月のシーズン開幕を飾るR・シュトラウス・プロ(第593回定期)、ラヴェルとその同時代の作曲家アルベリク・マニャールが並ぶスパイスの効いたフランス・プロ(第601回)、そして恒例のお楽しみ、年間の来場者アンケートをもとに選曲するリクエスト・コンサート(第608回)を振る。マグヌス・リンドベルイのフィンランド独立百年の祝典曲《タイム・イン・フライト》(2017年)日本初演や(第595回/ハンヌ・リントゥ指揮)、フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮のメンデルスゾーン&シューマン(第606回)も注目。

上岡が「発散だけではない、音楽を深めたスケール感」を考慮したと語ったのは、サントリーホールでの「ジェイド」。ブルックナーの「遺言」どおりに未完の交響曲第9番と《テ・デウム》を並べた第596回、マーラー《復活》(第602回)、《運命の歌》《哀悼の歌》《ドイツ・レクイエム》というブラームス合唱曲三昧の第607回と、合唱の入ったプログラムに目を惹かれる(第596回は新国立劇場合唱団、ほかは栗友会合唱団)。

名曲シリーズ「新・クラシックへの扉」を前身とする「ルビー」は、リーズナブルな価格設定は踏襲しつつ、「名曲」の概念を聴衆と一緒に広げていきたいという上岡の意志のもと、聴きごたえある真の「名曲」がずらり。現シーズンに続き海外から話題の女性指揮者を招くのも、今後の特徴のひとつになりそうだ。来季は、スウェーデンの合唱指揮者ソフィ・イェアンニン(2019年2月/ハイドン《四季》)と、ニューヨーク生まれのメキシコ美人指揮者アロンドラ・デ・ラ・パーラ(2019年7月/ヒナステラ&ファリャ)のふたりが登場する。

「オーケストラがさらに一歩、音楽の中に入っていけるような、それが聴衆のみなさんに伝わるような3年目にできたら」という上岡。会見でコンサートマスターの崔も語っていたが、どんなに繰り返し演奏した作品でも上岡とともに丁寧にスコアを読み直してゆくような念入りなリハーサルによって、オーケストラの音も音楽も確実に変化している。楽団創設以来の持ち味である際立った個性に、さらなる磨きをかける上岡シェフ。その3年目シーズンも目が離せない。

取材・文:宮本明

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