キャストの成長を応援する制度

柔らかな物腰が印象的な神野さんも、研修の一環でキャストとして働いた経験があるそう。自らの実体験を交えつつインタビューに回答していただけたので、貴重な話をたくさん聞くことができた

 ――うーん! いい職場ですね。株式会社オリエンタルランドとして、スキルアップやキャリアアップを応援しているようなことはありますか?

神野さん:はい。例えば「夢支援金制度」があります。一定の基準を満たした者に「業務に関わる資格」もしくは「個人のキャリア形成に関わる資格」の受験料を、合否にかかわらず、会社が補助する制度です。サービススキルや専門スキルのさらなる向上を目指して、資格の取得に向けてチャレンジしているキャストがたくさんいます。

また、海外からゲストがお越しになることが多いので、「外国語でゲストサービスをしたい」と考えるキャストもたくさんいます。外国語でディズニーの基準を満たしたご案内ができるキャストのみが着けられる、ランゲージピンというものがあります。英語、中国語、韓国語に関しては、社内でランゲージピンを取得するための語学クラスを開催しています。ネイティブの講師から、パークですぐに使えるゲストサービスの用語などをレベル別に学ぶことができます。

 

言われたから動くのではなく、相手のことを考えて自ら動けるか

――東京ディズニーリゾートが理想とする “おもてなしの哲学” について、教えてください。実際にキャストとして働くとしたら、どのような点が重要になりますか?

神野さん:すべてのゲストにハピネスを提供することが、東京ディズニーリゾートが理想とするおもてなしであると考えています。ウォルト・ディズニーが次のような言葉を残しています。

「世界中でもっとも素晴らしい場所を夢見て、創造することはできる。設計し、建設することもできるだろう。しかし、その夢を実現するには人々の力が必要だ。」

キャストにとって一番の喜びは、東京ディズニーリゾートに訪れるすべてのゲストに、ハピネスを感じていただくことです。ゲストと接する「オンステージ」のキャストも、ゲストと接する機会のない「バックステージ」のキャストも、同じ気持ちで働いています。

私自身がキャストをしていたときの経験から言えば、例えばサービスであれば、上司から言われて心に残っているのは、「言われたから動くのではなくて、相手のことを考えて自ら動けるかどうかが大切」ということなんです。

マーチャンダイズキャスト(商品販売)でしたら、例えばゲストがお土産を選んでいて、どんどんと増えていってしまうことがあると思います。その時に、たくさん荷物をお持ちのゲストを見て、買い物カゴを渡そうとすぐに思えるかどうか。

――すごく納得できます。東京ディズニーリゾートでは、期待を超えるサプライズがあるんですよね。

 

夢が叶う場所でゲストに魔法をかけるのがキャストの役割

――では最後に、キャストに憧れているみなさんにメッセージがあれば、お願いいたします。

神野さん:東京ディズニーリゾートは「Where dreams come true(夢がかなう場所)」です。キャストは、夢がかなう場所である東京ディズニーリゾートで、ゲストに魔法をかける重要な存在です。

アトラクションやエンターテイメントだけでなく、ゲストの夢を実現させることができるのは、やはり人の力だと考えています。

キャストは、ゲストの喜ぶ姿に一番幸せを感じます。訪れるすべてのゲストに、素敵な思い出をお持ち帰りいただけるように、努力できる人、努力したいと思える人を、一人でも多くキャストとしてお迎えしたいと思っております。

――履歴書も不要なのですか?

神野さん:はい。当日、顔写真を撮らせていただいたり、今までの職務経歴などを記入していただく書類はありますが、お持ちいただくものはありません。

――神野さん、どうもありがとうございました!

 

総括:心配するよりチャレンジ、かも

インタビューは以上です。私自身、年に何十回も東京ディズニーリゾートへ遊びに行っていますが、キャストについては知らないことばかり。興味深い話をたくさん聞くことができて、とても楽しい取材になりました。

個人的には、ゲストの見えないところでもたくさんのキャストが働いている、という事実が盲点でした。もしゲストとのやりとりに自信がなければ、バックステージから東京ディズニーリゾートのおもてなしを支える道があるわけですね。

ただ、お話を聞いた感触では、よほど話すのが苦手というのでなければ、あまり心配せずにチャレンジしてもいい気がしました。しっかり研修期間を設けているし、何より、素晴らしいお手本になる先輩が、周囲にたくさんいるわけですから。

「あの先輩みたいになりたい」というところからスタートして、追いつけ追い越せと切磋琢磨しているうちに、不安なんかどこかへ吹き飛んでしまうのかもしれません。「キャストは憧れだけど、自分にできるのか不安」という方は、案ずるより産むが易し、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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