小学生の「ツボ」を親目線で分析

そんな親の疑問をよそに、毎日『なめこ文文學全集』を読みふける小学生の娘たち。
難しくない?と尋ねてみると、小5の長女は「全然難しくないよ~! マンガだしわかりやすいよ。なめこ面白いし♪」と言い「お母さんも読んでみなよ、面白いよ!」と勧めてくる始末。

次女にいたっては『なめこ文學全集』を読みながら、何度も爆笑していました。何がいったい小学生女子のツボにハマっているのか……。親目線で分析してみました。

1)単純に「なめこ」が好き
昨年から、父親のスマホアプリで「なめこ」を育てたり収穫している娘たち。昨年話題になった「なめこ体操」を口ずさんだり、なめこグッズを集めたり。学校でもクラスメートの話題に上ることもあるとか。文学が難しかろうが、「なめこ」というだけでつい手に取ってしまうようです。

2)多彩な「なめこキャラ」が楽しい
小さい子供は「アンパンマン」や「ポケモン」のキャラクターを覚えるのが大好き。少し成長すると「プリキュア」や戦隊もののキャラクターを覚えたり、「あたしはこのキャラが好き~♪」と姉妹や友達とワイワイ言うのが楽しいのです。
「なめこ」も「いかなめこ」「ペンギンなめこ」「ヴィーナスなめこ」「激辛なめこ」「枯れなめこ」など、とても親には把握できない(苦笑)100種類以上のキャラクターが存在します。
それぞれのなめこが、名作の登場人物を「演じている」というだけで、小学生女子にはたまらない。例えば、いかの形をした「いかなめこ」が、『野菊の墓』の民子を恥らいながら演じて?います。

3)全作品ルビつき。読みやすい。
原作の言葉使いを極力活かしているので、大人でもサラッと読めない漢字や単語が山盛りです。ただ全てルビ(読み方)がふってあるので、ひらがなが読める小学生なら、文章を「読む」だけなら全く問題なし。「なめこ」のおかげで、意味がわからなくても気にせず読み進めています。

文豪の名作小説と「なめこ」の組み合わせはシュールでありながら、不思議な魅力満載。「なめこ」と文芸作品のミスマッチが、かえって子供には面白いようです。

 

多少の「毒」も子供には魅力的

子供たちを見ていると、「読んで理解している」というより、好きな「なめこ」を眺めつつ、ついでに文章も読んでいる、という感じです。

大人の男女事情を描いた作品、残酷な話もあり。正直、子供に内容について言及されてもちょっと困る……という作品もあります。アマゾンのレビューを見ると、これは子供には早い、見せたくない、という親御さんの意見もありました。

けれど「なめこ」のビジュアル効果もあり、残酷な話、ドロドロした話も、心なしかマイルドになっている気も。(捉え方は人それぞれですが)勝手に親の判断で制限したり、「毒」として排除するのもいかがなものか、という考えなので、子供が楽しく読んでいるならいいかな、と思っています。