『REDリターンズ』に出演したイ・ビョンホン(c)FUJISATO ICHIRO

ブルース・ウィリスを筆頭に、世界の名だたる名優たちが集結した『REDリターンズ』に、韓国トップスター、イ・ビョンホンも名を連ねた。彼が演じたキャラクターは、元CIAエージェントの“世界一の殺し屋”ハン・チョバイ。その看板に恥じることなく、劇中では壮絶なアクションを繰り広げ、強烈な存在感で物語を締める。イ・ビョンホンに話を聞く。

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記憶に新しい『G.I.ジョー バック2リベンジ』で痛みを伴うアクションを披露したストイックな名優は、その年の最後に“上を行く活劇”でファンの腰を抜かす。引退したがスゴ腕のスパイチームを壊滅する任を負ったハンは、容赦ない攻撃でブルースたちを追い込み、あまりにも早いスタントにカメラが間に合わなかったという伝説も。「その話は、本当です(笑)。だから、セットに入って実際の撮影が始まる前に、何度も話し合いを重ねました。ブルースもアイデアマンだったので、現場でのコミュニケーションは重要でしたね」。

今年一年で3度も来日を果たしたが、その2作品がハリウッド作品だった。近年、韓国映画界の監督たちも海外とのコラボが顕著だが、韓国の才能が出ていく実感は「ある」とビョンホンは言う。「以前はハリウッドの映画会社や製作者との会話の中で韓国の作品への言及はなかったですが、いまは具体的な人名や作品名を挙げることがありますね。監督の名前も正確な発音で挙げて、ファンだのリメイクだのという話で盛り上がりますよ」。ちなみにビョンホンの出演作で人気が高い作品は、『悪魔を見た』だそうだ。「意外なことに韓国では好かれなかったけれど、アメリカにはファンが多い。マニアもいるほど。僕は『甘い人生』が全米で知られていると思っていたけれど、全然違いますね(笑)」。

こうしてアジア以外の国での仕事が増え、事実オファーは絶えないが、拠点は変えないそうだ。「もちろんです。そういうことに何の制限も決めていなくて、だから今のような仕事の仕方が本当にちょうどいい。それに僕は自分の原点を失いたくないですね。韓国で、韓国語で、韓国の文化の中で、仕事をする時、自分は最高の仕事ができると思っています」。

『REDリターンズ』
公開中

※取材・文:鴇田崇