KREVA KREVA

Cleverだから、KREVA。その賢明さは、言葉というものを自在に転がしたり跳ねたりさせて、ヒップホップ、あるいはラップという既成の枠組みには収まりきらない表現で音楽ファンの知性と身体を揺らしてきた。例えばリリースされたばかりの新作KREVA LIVE ALBUM『SPACE TOUR』では、DJとラッパーという標準的な編成のヒップホップ・ライブには飽き足らず、“半生バンド”(DJ+バンド)と称するバンド・メンバーを引き連れて展開した、KREVAならではのグルーヴをたっぷりと味あわせてくれる。が、それは見方を換えれば、音楽シーンの中での革新だ。彼の野心は、あるいは彼のメッセージは、やはりその枠組みには収まりきらない。

KREVAの新しい音楽劇「最高はひとつじゃない2014」チケット情報

2014年1月シアタークリエにて開幕する「最高はひとつじゃない2014」は、KREVAの楽曲をもとに構成される、新しい音楽劇。2011年以来の再演となる今回の公演は、「OSのバージョンアップみたいな感じ」の再構成が施されて、ストーリーのなかで彼が演じる役柄もよりわかりやすくなった。そして、そのストーリーをたどるなかで様々な言葉のグルーヴを楽しめることこそがこの音楽劇の“新しさ”だ、と彼は語る。

「前回やってるときには、ラップをたくさん盛り込んでいることが“新しい音楽劇だ”と思っていたんです。でも、今になって考えてみると、セリフがあって、そのなかに自分の歌詞が出てくる場面もあるし、もちろんラップもあって、さらには朗読という表現もあったわけですよね。そういう、いろんな間(ま)の違いを楽しむのが新しい感触だったんだなということに気づきました。しかも、それがセリフ/朗読/歌という3つだったら、セリフ/朗読と歌があまりつながってる感じがしないですけど、セリフ/朗読/ラップだと、間の違いを楽しむというか、言葉のグルーヴの違いを楽しむということになると思うんです。そこが新しいんじゃないかなと、今は思っています」

観衆は、その“新しさ”から、ひとつじゃない“最高”がまた生み出される瞬間を目撃することになる。「今回はまず自分の歌があって、そこから世界を広げてもらった舞台なわけです。でも自分の目標としては、最終的には舞台用にオリジナルのラップをたくさん書いて、それで舞台を作るということができたらいいなと最近思うようになってきたんです。ただ、そういう話も、この舞台を最高にすることから始まると思うので。今回は役者さんも増えているから、たくさん勉強しつつ、みんなで“最高”を作れたらいいなと思っています」

KREVAの新しい音楽劇「最高はひとつじゃない2014」は1月28日(火)から2月2日(日)まで東京・シアタークリエにて。チケット発売中。

取材・文:兼田達矢