『ハンガー・ゲーム2』(C)2013 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED.

全米で圧倒的なヒットを記録しているシリーズの最新作『ハンガー・ゲーム2』の全米興行収入が3億5千万ドルを突破した。前作もアメリカだけで4億ドル、全世界で7億ドルを叩き出している超人気シリーズだが、その魅力はどこにあるのだろうか?

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『ハンガー・ゲーム』は全世界でベストセラーになっているスーザン・コリンズの小説を基にしたアクション大作。前作では富裕層が支配する独裁国家で、国民を服従させるために実施されるサバイバル・ゲーム“ハンガー・ゲーム”に身を投じることになった少女カットニスが、同郷のピータと戦い、共に生き残るまでが描かれたが、最新作では歴代の“ハンガー・ゲーム”勝者が集結し、過酷なサバイバル戦が展開する。

ハリウッドでは人気のコミックや小説を題材にした大作映画が次から次へと製作されており、今冬も多くの話題作がアメリカのスクリーンを飾っているが、『ハンガー・ゲーム2』がブッチギリで首位を独走している。本作は熾烈な生き残りをかけたゲームが見どころの“アクション”作品だが、実際に映画を観ると様々な要素が絶妙なバランスで盛り込まれていることがわかる。主人公カットニスは、戦うことを望んでいないが愛する家族を守るために戦いに身を投じる。その結果、彼女はハンガー・ゲームが始まっても決して好戦的になることはなく、時には対戦相手と心を通わすことも。“巻き込まれ型ヒーロー”は、古くから観客の共感を集めるキャラクター像だが、カットニスも観客の共感と支持を集めるよう描写されており、注目のオスカー女優ジェニファー・ローレンスが役を演じることで、さらに人気を集めることになった。

また本作はアクションを中心にしながら、若者のロマンスや大人たちの政治的な駆け引き、ゲームを通じた年長者と若者たちの心の交流も描かれている。カットニスは同郷のピータとハンガー・ゲームに出場し、ピータは彼女に想いを寄せるが、カットニスには故郷にいるゲイルのことを想い続けている。また、カットニスはゲーム出場前にはヘイミッチを始めとする教育係やPR担当と共に準備を進め、その過程で熾烈な状況の中で人を支えることや、立場を超えた信頼を学んでいく。

本作は“生き残りをかけたゲーム”を題材にしながら、あえて残酷な描写を避け、代わりにゲームで戦う登場人物の内面や恋愛/人間関係の変化、究極的な選択を迫られる際の迷いや後悔、困難を乗り越えようとする強い意思にフォーカスをあてた。その結果、原作小説の圧倒的な人気も後押しして、劇場には“アクション映画好き”だけではない観客を集めることに成功。これまでのアクション超大作にはない魅力で驚異的な興行成績を生み出している。

『ハンガー・ゲーム2』
12月27日(金)よりTOHOシネマズみゆき座、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー