――そういうおっかけの楽しさや、優しい目線みたいなものは、漫画にも現れていると思います。ルームシェアして、一緒にDVD見たり握手会の練習したり、キャッキャして楽しそうです。あれは実体験なんですか?

竹内:私自身はルームシェアをしたことがなくて、一人暮らしもしたことがないんですよね。それは漫画を描く上で結構困りました(笑)。不動産のことも全然わからないので、周りの人に聞いて。一緒にDVD見たり握手会の練習したりは実体験なところもあります(笑)。

――実際に周囲でルームシェアをされている友達はいるんですか?

竹内:「昔やっていた」という友達もいますし、読者の方から「今おっかけ友達とシェアしています」というメッセージをいただくこともあります。
 

大反響を巻き起こした「No.54 ドエル」。K-POPファンの隣人さんのセリフに共感?(©竹内佐千子/講談社)

――読者の方からの反響が大きかったエピソードはありますか?

竹内:それはもう満場一致で 「No.54 ドエル(2013/11/13公開)」ですね。お金の使い方の回。

びっくりするほど反響があったんですよね。普段は若手俳優さんのファンの方からの感想が多いんですが、あの話はもう色んなジャンルのファンに飛び火して。K-POPから二次元ファンの方まで波及して。みんな共通してるんだなって思いました。

――身も蓋もない話ですからね。

竹内:真実っちゃあ真実ですからね(笑)。「なんでそんなに同じCD何枚も買うの」って言われると、凹むときもあるんですよ。握手券がついてたりすると、握手したいがためにCDを買うから…。それでCDの売上が伸びても、本人たちは喜ばないんじゃないかって、そのまんま漫画に描いた通りなんですけど。

おとなりさんのエピソードは実体験なんですよね、ここまで振り切っちゃっていいんだなあって。良いこと言うなぁって(笑)。あと結構K-POPのファンの人たちはそういう面のメンタルが強い。それはちゃんと良いものを見せてもらえてる証拠だと思う。

――好きなものにお金を遣うことって気持ちいいですからね。

竹内:あれは何にも代えがたい快感ですよね、なんなんでしょう(笑)。それだけ使ったとしても、ちゃんといいステージや作品で返してくれるなら嬉しいじゃないですか。次の作品につながるし。だけど全てうまくいくものじゃなくて…若手俳優の子が頑張ってても、作品そのものが面白くなかったりして…。

――漫画にもありましたね。「イケメンが出てるだけでファンは満足するんだろ? なめられてる!」と。

竹内:そのことを描いた時も、反響は大きかったですね。「ここまで言ったら怒られるかな」と思った回の方が、反響が大きかったです。

――ファンの本音が出てるからでしょうか。

竹内:ただの私個人の本音だと思っていたことが、結構みんなが思っていることだったという。共感してもらって、嬉しい誤算なのか…やっぱりみんなもそういう作品があると思ってるんだ…と実感して悲しいような…複雑。

願わくば、これが偉い人の耳に入って欲しいんですよ!(笑)。正面から作品を受け止めるわたしたちは何かあったらなんとなく気が付きます。何も気が付かないふりをしてるときだって多いんです。

――「イケメン作品の粗製乱造はやめてほしい」と(笑)!

竹内:「私たちだって結構ちゃんと考えてるんだよ!」と(笑)。

――イケメンは好きだけど、彼らが出てたら全部OKというわけではない。

竹内:なぜか制作側は盲目的なファンが多いと思ってるんでしょうね。わたしたちのことを。

――それはメディアが極端な人ばっかり取り上げるという話に通じてきますね。