12月20日、おっかけ女子ふたりがルームシェアしていく日常を描いたWEB漫画、『2DK』(講談社)の単行本が発売されました。

今回は作者の竹内佐千子先生にご登場いただき、漫画が誕生したきっかけや、人気のエピソードを伺ってきました!

 

――『2DK』は「きなり」と「こむぎ」というふたりの「おっかけ女子」がルームシェアをする漫画ですが、この作品が生まれたきっかけを教えて下さい。

竹内:『2DK』がいま連載している講談社のWEB漫画サイト「モアイ」には、元々はるな檸檬さんの『ZUCCA×ZUCA』が連載されていて。こちらは宝塚ファンを描いた作品なので、別のジャンルのファンをテーマにして漫画を…というお話をいただいたのが最初ですね。当時はエッセイ漫画にするか違う形にするのかすらも固まっていなくて、一年くらい悩んで…。

――竹内さんには『おっかけ!』(ブックマン社)など、ご自身や周りのおっかけ体験を元にしたエッセイ作品も多いですものね。

竹内:なので、最初は「エッセイにしましょう」という話だったはずなんですけど…、何回かネームを出して、編集さんの方から「ストーリーがあった方がいいんじゃない?」と。

私が「D2」という若手俳優集団が好きで、打ち合わせの時にその話をしていたら、編集さんの方から「D2を逆にして、イニシャルがKの女の子ふたりがルームシェアをする「2DK」というタイトルの物語はどうか」と提案があって、「それおもしろいですね」となったのがきっかけだと思います。

――主人公の「きなり」は染色家で、「こむぎ」はパティシエですよね。学生ではなく社会人にしたのは?

竹内:それは自分の周囲の人が学生じゃなくなっているというのもあるんですよね。社会人で働きながらおっかけしてるっていう子が描きたかった。学生のうちは「(おっかけをしても)許されている」みたいな空気もあるから。

「学生終わったらおっかけも卒業する」「30歳過ぎてもおっかけしてるとかちょっと…」て思ってる10代の子もたくさんいるし(笑)。周囲からも思われていることも多いし、そうじゃなくて、社会人で、仕事しながらおっかけも楽しんでいるんだよ、っていうことを描きたかったんです。

――働いて、時間のやりくりをして、おっかけして…。それこそ社会人になって自由に使えるお金が増えると漫画の中にあるように、新幹線に乗ったり…お金を時間で買うような…(笑)。

竹内:かなりお金で時間を買ってるよね(笑)。でも結構メディアの人たちってそういう部分をおもしろおかしく扱うじゃないですか。「ここまでやっちゃってる女たち!」みたいな。

「給料の半分つぎ込んだり…彼氏も作らず結婚もしてない!」とか。そんな風に言われることが本当に納得できなくて。ひどい時は「現実が見れないかわいそうな女」扱いされて。それは若手の俳優さんに限らず、アイドルとか追っかけられる立場の人の職業すらバカにしてますよね。確かに縁遠い人も多いですけど(笑)、彼氏がいる人もいるし、結婚してる人もいますよ。お金だって使えるお金を使っています(笑)。

――そういうところばかりが取り上げられがちですよね。「おっかけの実態!」みたいな。

竹内:それにおっかけてる女の子たちってみんなかわいいじゃないですか。隣でアイドルを見て「キャー!」って言っている女の子ってめちゃくちゃカワイイよ! 握手会の列に並んでいる子たちもめちゃくちゃカワイイ!「何話す~?」「順番がくるんだけどどうしよう~!」みたいな(笑)。

みんなすごくかわいいし、現実を疎かにしているわけでもない。呆れられることはあっても、責められることは何もないですよね。趣味を持っていきいきとした人生を過ごしてるのに、一部の行き過ぎたファンの行動を鵜呑みにされて、未成年でもないのになぜ周りにとやかく言われなくちゃいけないんだって思っている部分もあったので。