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『ジョン・ウィック コンセクエンス』(9月22日公開)

 裏社会のおきてを破り粛清の包囲網を逃れたジョン・ウィックは、裏社会の頂点に君臨する主席連合からの解放を求めて立ち上がる。対する主席連合の若き高官グラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)は、これまで聖域としてジョンを守ってきたニューヨークのコンチネンタルホテルを爆破し、ジョンの旧友でもある盲目の暗殺者ケイン(ドニー・イェン)をジョンのもとへ差し向ける。ジョンは日本の友人シマヅ(真田広之)に協力を求めるため、大阪のコンチネンタルホテルに現れるが…。

 キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋に扮(ふん)した「ジョン・ウィック」シリーズの第4弾。イアン・マクシェーン、ローレンス・フィッシュバーン、ランス・レディックら、おなじみのキャストも登場し、「マトリックス」シリーズでキアヌのスタンドダブルを務めたチャド・スタエルスキ監督が前3作に続いてメガホンを取った。

 第1作の『ジョン・ウィック』(14)では愛犬を殺された怒りからロシアンマフィアを壊滅させ、第2作の『ジョン・ウィック:チャプター2』(17)では家を爆破された怒りからイタリアンマフィアを一蹴し、第3作の『ジョン・ウィック:パラベラム』(19)では組織から追われる身となり、さまざまな刺客と闘いを繰り広げたジョン・ウィック。今回は、主席連合の束縛からの自由を得るため、壮絶な闘いを披露する。

 本シリーズは、銃とカンフーを組み合わせた「ガンフー」なるアクションを生み出したが、今回も銃や刀を使ったアクションはもちろん、ヌンチャク、カーアクション、バイクに乗馬とキアヌが八面六臂(ろっぴ)の大活躍を見せる。

 上映時間169分の間に、ニューヨーク、大阪、パリと舞台を移しながら、シューティングゲームや対戦型格闘ゲームを思わせるアクションシーンが連続する。あまりのアクションのすごさにあきれて思わず笑ってしまうほど。

 そして今回は、キアヌと彼が憧れる千葉真一の弟子筋に当たる真田と香港アクション映画の雄ドニーとの競演が最大の見どころ。また、ブラッド・ピット主演の『ブレット・トレイン』(22)同様に、わざとカリカチュアされた日本の姿も見ものだ。

 現在59歳のキアヌ。61歳のトム・クルーズもそうだが、その信じ難いアクションを見ていると、彼らの精神と肉体は一体どうなっているのかと思わずにはいられなくなる。

『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』(9月22日公開)

 ミュータントガメのミケランジェロ(声:シャモン・ブラウン・Jr=戸谷菊之介)、ドナテロ(マイカ・アビー=榊原優希)、ラファエロ(ブレイディ・ヌーン=土屋神葉)、レオナルド(ニコラス・カントゥ=宮世琉弥)は、不思議な液体「ミュータンジェン」に触れたおかげでミュータントになった。

 彼らは、養父でネズミのスプリンター(ジャッキー・チェン=堀内賢雄)と共に地下で身をひそめるように過ごしているが、中身は人間のティーンエージャーと何も変わらず、高校に通いたいと思っていた。

 そんな彼らの前に、ハエのスーパーフライ(アイス・キューブ=佐藤二朗)を筆頭としたミュータント軍団が現れる。同じミュータントの仲間がいたことを喜ぶタートルズだったが、スーパーフライ軍団は人間社会を乗っ取るという野望を抱いていた。

 ニューヨークを舞台にカメの忍者4人組の活躍を描き、さまざまなメディアで根強い人気を誇る「ミュータント・タートルズ」を、アメコミタッチの新たなビジュアルで映画化した長編アニメーション。コメディアンで俳優のセス・ローゲンがプロデューサーを務めた。監督はジェフ・ロウ。

 独特のセンスによるビジュアル、手書き風のアニメーション、そしてスケボー、ラップなどのストリートカルチャーなど、いろいろと盛り込んでいるが、物語の骨子は、タートルズと記者を目指す高校生のエイプリル(アヨ・エデビリ=齊藤京子)によるコンプレックスの克服を描いた青春物語。同世代の観客は共感し、すでに青春を終えた観客は懐かしさを覚えるかもしれない。

 ただ、必要以上に醜く描かれたように見えるキャラクターデザイン、グロテスクな描写、ティーン独特のハイテンションなノリ(タートルズの4人が一斉にしゃべり出した時のうるささ)などを、面白いと感じるかどうかで評価が分かれるところはあると思う。

(田中雄二)