ミラーレス市場の高級化をけん引するソニーの「α7 III」

ミラーレス一眼カメラの平均単価が年々上昇している。35mm判フルサイズ(約36×24mm)相当の大型センサ(撮像素子)を搭載する機種をソニーが積極投入しているほか、キヤノンもミラーレスで「EOS Kiss」ブランドを冠した初の製品を出しており、従来の一眼レフカメラとの区切りは次第にあいまいになりつつある。 「BCNランキング」の実売データでミラーレスを展開する主要6社(オリンパス・キヤノン・ソニー・ニコン・パナソニック・富士フイルム)の平均単価をみると、ボディ単体は2016年4月に約12万円だったが、17年11月以降は15万円を超えている。エントリークラスの比率が高いレンズキット商品を含めると、16年4月の約7万円が17年3月には約8万5000円となっており、ミラーレス市場全体で高付加価値モデルへのシフトが進んでいる様子がみてとれる。

メーカー別でみても、15年4月発売の「Nikon 1 J5」を最後にミラーレスの新製品を出していないニコンと、一眼レフとの棲み分けを図ってきたキヤノン以外の4社は、過去2年間では単価の引き上げにおおむね成功している。とくにソニーは、6社の中では唯一ミラーレスのフルサイズ機を用意しており、17年11月の「α7R III」発売以降、ボディ単体の平均単価は20万円を超えてきている。この3月23日にはより多くの販売数量が期待できる「α7 III」(実売23~25万円程度)を発売しており、平均単価上昇にも貢献しそうだ。

キヤノンは、一眼レフにも使用されるAPS-Cサイズ(約22.3×14.9mm)のセンサをミラーレスに採用していたが、「コンパクトデジカメのワンランク上」という性格付けの製品が中心で、他社に比べ平均単価が低かった。しかし3月23日に「EOS Kiss M」、3月29日に「EOS Kiss X90」を発売し、従来は一眼レフのみに付与していたEOS Kissのブランドをミラーレスにも拡大した。実売7~8万円のEOS Kiss Mは、エントリー向けミラーレスとしては高価格帯の商品であり、4月以降の同社の平均単価アップが予想される。

また、ソニーの攻勢でプロおよびハイアマチュア市場でもミラーレスの受け入れが進んでいることから、キヤノンからもフルサイズのミラーレス製品が登場するのでは、という噂は絶えない。

長らく動きを潜めていたニコンも、従来のミラーレス機に搭載していた1インチ(約13.2×8.8mm)センサではなく、フルサイズやAPS-Cのミラーレス新製品を投入して挽回を図るのではないかという見方は強い。ただ、ニコンは17年9月に発売した「D850」の評価が高く、上のグラフでもわかるように直近では一眼レフのビジネスが順調に推移している。収益性の高い一眼レフの事業を守りながら、今後ミラーレス市場でどのように新たなユーザーを取り込んでいくのか、難しい舵取りを迫られている。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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