『ソウルガールズ』を手がけたウェイン・ブレア監督(C)2012 The Sapphires Film Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Goalpost Pict

夢をかなえるために歌い続けた4人の女性たちの姿を描き、オーストラリアで圧倒的なヒットを記録した映画『ソウルガールズ』が11日(土)から公開される。本作は、実話を基にしたミュージカルから誕生した映画だが、この舞台に出演したウェイン・ブレアが映画の監督を務めている。

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本作の主人公はオーストラリアのアボリジニの居住区で暮すゲイル、シンシア、ジュリーの三姉妹と従姉妹のケイ。彼女たちは、幼い頃から抱いてきた“歌でスターになりたい”という夢を叶えるため、自称ミュージシャンの男・デイヴに出会い、穏やかなカントリーミュージックから躍動感あふれるソウルミュージックに転向して”サファイアズ”を結成し、夢を追う。

ブレア監督は自身が舞台に立っているときから「この物語がすごい作品であることに気づいていた」という。「オーストラリアや世界中のほとんどの人が今まで聞いたこともないような、他にはない真実の物語だと思ったからです。心や魂が伝わってくるオーストラリアに根付く物語です。それに音楽も最高でした」。そこで監督は、映画化に向けて始動。“サファイアズ”のモデルになっている女性の息子であり、舞台の脚本も手がけたトニー・ブリッグスと引き続きタッグを組んだ。「映画化するにあたり、脚本はいろいろと書き換えましたが、伝えるべき魂とエネルギーの部分についてはほとんど同じです。トニーは舞台と映画の違いをよく理解していましたね」。

その後、監督はオーストラリア全土でオーディションを敢行。歌はもちろんだが、人間ドラマをしっかりと演じることができるキャストを選び出した。「この映画で伝えたいのは家族の大切さです。アボリジニの人々が苦痛を味わった“盗まれた世代”は1970年代に入るまで続きました。議論を呼んだ政府の方針によってアボリジニの子供たちは自分の家から引き離され、白人の家族や施設へと預けられました。この政策によって家族は引き裂かれてしまったのです。この問題については、映画では“盗まれた子供”の1人であるケイに焦点を当てて、家族から引き離され白人の文化に馴染んだ後、再びアボリジニの家族と一緒になることの難しさを描いています」

オーストラリアでかつて起こった悲劇を描きながら、姉妹が時にぶつかり合い、時に協力し合って夢を追う姿を描き出した本作。ブレア監督は「この映画を観て、自分の夢や未来への希望を捨てずに、目の前に広がる人生の困難に立ち向かっていく大切さを知ってほしい」とメッセージをおくっている。

『ソウルガールズ』
1月11日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー