“私物のおもちゃは持ち込み禁止”という園のルールがあるのに、子どもがお気に入りのおもちゃを「持って行く~」「お友達に見せる~」とぐずることはありませんか? また、シールを「○○君にあげるんだ」と持って行きたがることはありませんか?

でも、その先には様々な苦難が待ち受けているのです。

園に私物のおもちゃを持って行ってはいけない理由について、『「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。

私物を持ち込むとこんなことになります

1.喧嘩が始まる

園内で園児達は備品のおもちゃで遊びます。特に「誰のもの」と決まっているわけではありません。ですから、取り合いになったときは保育者が仲介に入り、「○○君が遊ぶのが終わってからね」と順番に遊ぶように教えます。

これも教育の一環で大事な経験です。共有の備品なので、この対応が可能です。

しかし!もし私物のおもちゃが紛れ込んでいたら?

それを持ってきた子どもにとっては「自分のもの」です。それを誰かに取られそうになったら「僕のミニカーだから触らないで」となってしまうのは当然です。「取られてしまう」とか「壊されてしまう」と思うからです。

保育者も「みんなのおもちゃだから、一緒に仲良く遊びましょう」とはなかなか言えず、困ったことになります。

2.保育者が預かることになる

前述のようになるので保育園、幼稚園は個人が持ってきたおもちゃを園内に放置することはありません。登園時、カバンの中に私物があれば「帰る時間まで職員室で先生が預かっておきます!」という事態なります。

でも、せっかく友達に見せびらかそうと思って持ってきたのに、先生に取られそうになって、なかなか素直には差し出せません。「預けなさい」「預けたくない」の押し問答になり、子どもは泣いてしまいます。保育中も職員室のおもちゃのことが気になって仕方がありません。

先生も毎朝、これで無用な時間をとられます。この押し問答は、本来は家を出るときにママと子どもの間でやってほしいですね。解決法は後述します。

3.紛失した場合、責任を問われる

園によっては職員室で預からず、子どものカバンの中にしまうように指示することがあります。でも、それでなくなることも実際起こります。

家とは違い園内は広いです。クラスもたくさんあります。なくなってしまうとなかなか見つかりません。園側も紛失した責任があり、子ども達が帰ったあとに各クラスのおもちゃ箱をひっくり返したり、園庭を隅々まで見回ったりして、職員総出で必死に探し回ることになります。

4.泥棒探しが始まる

園にはない珍しいおもちゃを自宅から持ってくる子がいると、子ども達の中には「欲しい」という欲求に打ち勝つことが出来ず、友達のおもちゃやシールをこっそり持ち帰ってしまう子もいます。

帰宅後、親に「これどうしたの?」と追求されても叱られるのが怖くて、「○○君にもらったんだ~」と嘘をつくこともあります。

でも、なくされた側は困ります。そこで “泥棒探し”をしなくてはならない事態に陥ります。これをするのは園側にとっても、疑われた親にとっても、また当事者の親にとっても嫌なもので、その後の保護者間の人間関係にひびが入ることにもなりかねません。