ミラクルな演出はぜひ、生で味わって!

2幕は、ミュージカル初登場の監督役、四天宝寺の顧問「オサムちゃん」こと、渡邊オサムが舞台に登場するところから始まる。

これまで「男子テニス部員だけの世界」を描いてきたテニミュの新たな試み。とはいえ、オサムちゃんは「大人」というよりは「良きお兄さん」という感じで、一歩引いたところから、場をあたためてくれる。「四天宝寺のみんなに輝いてほしい」というオサム役:君沢ユウキの願いが、舞台を支えているのだ。

続く試合は、シングルス2。「青学のお荷物」と言われた河村が、彼の必殺技である「波動球」の考案者・石田 銀を相手に、文字どおりの死闘を繰り広げる。あまりのパワーを前に、ボロボロになった河村が客席のベンチまで吹っ飛ばされるシーンは、原作連載時にも大きな話題になった。これを、生身の体で再現してしまうのだから、とにかく迫力がすごい。まさに体当たりのファイトに、大きな拍手を送りたくなること間違いなしだ。

 

ラストは、青学の部長・手塚と、四天宝寺の千歳との、ダブルスだけど「実質シングルス」マッチ。今後の展開において鍵となる「無我の境地」同士のぶつかりあいに、決勝戦への期待が高まる。

青学と四天宝寺との戦いは、ここで決着がつく。しかし、最後に越前リョーマと遠山金太郎、東西超一年生(スーパールーキー)運命の一球勝負が待っている。

実は、金太郎は、原作者の許斐 剛がもともと主人公にと考えていたキャラクター。「エラい新人(ルーキー)が同世代に2人も……」というセリフからも分かるとおり、出会ってはいけない2人が出会ってしまったときに起こるビッグ・バンが、あっと驚く方法で演出される。青少年の体力とガッツがあればこそ実現した、ミラクルな演出はぜひ、生で味わってほしい。