2013年を振り返る――デジタルの中心はスマートフォンへ、売れ行きそのものは伸び悩み

2014.1.8 21:41配信
日常生活に欠かせない存在になったスマートフォン。春の新生活シーズンや新製品の発売直後、店頭は大いに賑わったが、販売台数の伸びは鈍化している

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」による定量データと、インターネット上で話題になったさまざまなできごとから受けた印象をもとに、2013年を振り返りたい。

●多くの人をひきつけるスマートフォン 日常生活に欠かせない存在に

携帯電話番号とGoogle、LINE、Twitterなど、さまざまなオンラインサービス/コミュニケーションサービスのアカウントと結びついたスマートフォンは、ひとときも手放せないほど過度の依存症や「歩きスマホ」が問題視されるほど、日常生活に欠かせない存在になりつつある。学生や若い世代を中心に、多くの人をひきつける要素は、情報収集・情報発信のリアルタイム性と、ちょっとした空き時間を有効活用できる手軽さ。外出先や電車やバスなどでの移動中、いつでもどこでもインターネットにアクセスできる利便性は、月額6000円を超える高額の通信料金にも見合った価値があるだろう。もちろんユーザーにすれば、安ければ安いほどうれしいが……。スマートフォンの場合、MVNO事業者(仮想移動体通信事業者)による、いわゆる格安SIMを除いて、事実上、月7GB/5GB/3GBまで使い放題の「フラット型パケット定額サービス」への加入が必須だが、実情に合わせて1パケットあたりの単価を見直すべき時期ではないだろうか。

1年前に掲載した記事<2012年の携帯電話・PCの動向を振り返る――タブレットがデスクトップPCを超える>で、2012年は「インターネットにつながるさまざまなデバイスのうち、タッチパネル操作に対応するスマートデバイス、すなわちスマートフォンやタブレット端末が主役に躍り出た年」と記した。2013年は、この流れが決定的になり、パソコンよりも「iPhone 5s」や「Xperia A」「Xperia Z1/Z」、「iPad Air」「Nexus 7(2013年モデル)」「IdeaPad Miix 2 8」など、スマートフォン・タブレットの新製品や、スマートフォン向けアプリ・ゲームに注目が集まった。同時に、動画配信や電子書籍などのコンテンツサービスや、オンラインストレージなどのクラウドサービスは、スマートフォン、タブレット、パソコン、そして、サービスによってはテレビを加えた「マルチデバイス対応」が一般的になり、利用シーンに応じて複数のデバイスを使い分ける人も増えている。

NTTドコモは、2013~14年冬春モデルの発表に合わせて、「ネットワークフリー、デバイスフリー、OSフリー、キャリアフリー」の四つの「フリー」を掲げ、通信事業者から総合サービス企業への転換を試みている。端的な例が、パソコンのブラウザ・IMAP4に対応した新しいメールサービス「ドコモメール」だ。ただ、多くの場合、対応デバイスのなかに、iモードケータイなどの従来型携帯電話(フィーチャーフォン)は含まれていない。フィーチャーフォンが「ガラケー」と揶揄される理由の一つは、サービス提供にあたって独自の最適化が必要な点にある。

ついにドコモがiPhoneの取扱いを開始するなど、一年を通じて話題にはこと欠かなかったが、インターネット上では、デジタル製品にあまり興味・関心をもたない層や、使い慣れた手持ちの端末に愛着をもち、あえて古いスタイル(パソコン・ケータイ)に固執する層の、「反スマートフォン」コメントが目立つようになり、スマートフォンに関しては、この一年で爆発的に伸びたという印象はない。それどころか、伸び悩みが顕著になってきた。一方、タブレット端末は伸びており、手持ちの古いPCからの買替え・買足しのニーズを受け、今後さらに本格的な普及期に突入することが期待される。

●スマートフォンの販売台数は前年並み iPhoneはプラス、Androidはマイナス

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2013年のスマートフォンの販売台数は、前年比98.4%と、2012年とほぼ同じだった。従来型携帯電話は前年比約3割減だったので、携帯電話全体では、前年の9割にとどまった。OS別にみると、iOS(iPhone)はプラス、複数のメーカーが手がけるAndroidはマイナスと、対照的な結果となった。ただ販売台数は、依然としてAndroidのほうが多い。

月次集計で、スマートフォンの販売台数が前年を上回ったのは、5月・6月・9月・10月。年末商戦期に当たる12月は、過去3年間で最も少なく、そのうちの55.3%がiPhoneだった。シェアは、新モデル「iPhone 5s/5c」の発売直後の7割弱から下がったものの、iPhone一人勝ちの状況に変わりはない。

絶好調にみえるiPhoneも、次のモデルチェンジまで、ずっと今の高い水準を維持できるかどうかは不透明だ。iPhoneの人気は、多くの熱心なファンと、マスメディアや口コミを通じて広まった「使いやすい」というイメージ、「MNPなら基本使用料2年間無料」「学生なら基本使用料3年間無料」「MNP一括0円+キャッシュバック」といった各種キャンペーンによるもの。「安さ」によるところは大きい。

●賛否両論が巻き起こったドコモの「ツートップ」戦略 ひと夏限りの広告大量投下

2013年、最も印象に残ったできごととして、夏モデル発表時、ドコモが打ち出した「ツートップ」戦略を挙げたい。インターネット上では賛否両論が巻き起こり、ドコモだけではなく、ソフトバンクモバイル、auの事実上の「iPhoneワントップ」戦略に対する批判の声も上がった。ポスターやバナーなど、広告大量投下を伴った「ツートップ」戦略は、「Xperia A SO-04E」「GALAXY S4 SC-04E」の販売台数を押し上げ、一定の成果を残した。

スマートフォン端末メーカーのすう勢は別の機会に改めて取り上げる予定だが、撤退したNECカシオモバイルコミュニケーションズ、パナソニック モバイルコミュニケーションズ以外の一部のメーカーも、前年度に比べて販売台数は落ち込んでいる。アップルのiPhone、ソニーモバイルコミュニケーションズのXperiaの高い人気のおかげで前年並みの水準を維持できたとも、選択肢が減ったために伸び悩んだともいえるだろう。

ここ1、2年、携帯オーディオプレ―ヤーやコンパクトデジタルカメラ、デジタルフォトフレームなど、スマートフォンと競合する「専用機」の販売台数は、減少傾向にある。スマートフォンを利用して、いつでもどこでも情報を収集・発信できるようになり、未来は明るい――といいたいところだが、マナーや契約に関するクレームを含めてマイナス面も目立った1年だった。停滞感を払拭するために、キャリアやメーカーには、料金やキャンペーン、LTEの速さ・つながりやすさの訴求だけではなく、「スマートフォンの魅力」をポジティブに伝えることを求めたい。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

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