120年の時代を超えてなお、上演され続けるエドモン・ロスタンの純愛物語『シラノ・ド・ベルジュラック』。舞台は17世紀のフランス。剣の達人で詩人のシラノは誰もが認める男の中の男だが、自分の醜さを恥じて愛する従妹ロクサーヌに本心を伝えられない。詩を愛する美しいロクサーヌは、若くハンサムな軍人クリスチャンと惹かれあう。ふたりから信頼されるシラノは恋の仲裁役となり、愛をうまく言葉で表現できないクリスチャンに力を貸す。彼からロクサーヌへ渡す手紙に自分の真の想いを託して…。

「シラノ・ド・ベルジュラック」チケット情報

シラノには吉田鋼太郎、ロクサーヌは黒木瞳、そして大野拓朗と白洲迅がWキャストでクリスチャンを演じる。2016年の『花より男子 The Musical』に続く鈴木裕美の演出で、2年ぶりの舞台となる白洲が来阪。稽古開始を控え、その思いを語った。

「久しぶりの舞台なので、すごく新鮮です。吉田鋼太郎さん、黒木瞳さん、おふたりの強いエネルギーを感じながら舞台に立てることが一番の楽しみでもあり、怖くもあります。でも、すごい経験だと思うので挑戦ですね。やるしかないという気持ちです」と意気込みを語る白洲。演じるクリスチャンについては「とにかく純粋だと思う。とても熱い情熱を抱く一方で、ちょっとオバカなところも(笑)。登場人物の中で一番おもしろいキャラクターだと思うので、おもしろく、可愛く、愛されるおバカなキャラクターをコミカルに演じたい」。会見でスラスラとしゃべっているように思うが、実はそうではなかった。ロクサーヌへの想いを言葉に出来ないクリスチャンに、白洲は「とても共感します」と言う。「僕も本当に口ベタで、そのまんま。基本は人の話を聞いていたいんですよね。自分の話をするのは、恥ずかしくなってしまうので、あまり得意じゃないんです」と、シャイな一面も。今回の上演台本はマキノノゾミと鈴木哲也。演出の鈴木と共に、これまでにない『シラノ』を創り上げるとか。「今ふうの若者言葉とかも入ったりするので、より伝わると思います。古典の戯曲ですが、現代的なシラノになると思うので楽しみにしていただきたいですね」。白洲は舞台が好きだ。「稽古の時間も数多い公演の回数も、それだけチャレンジする場があるということ。これだけ時間をかけてひとつの作品を作っていけるのは、すごく贅沢で幸せな時間。お客様の前に立てることを心から幸せに思い、楽しみに感じています」。

公演は、5月15日(火)から30日(水)まで東京・日生劇場、6月8日(金)から10日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。チケットは発売中。

取材・文:高橋晴代