左から、蜷川幸雄、鈴木杏、井上芳雄、勝村政信 左から、蜷川幸雄、鈴木杏、井上芳雄、勝村政信

上田竜也(KAT-TUN)、井上芳雄が出演する舞台『冬眠する熊に添い寝してごらん』が1月9日(木)、東京・シアターコクーンで開幕する。初日前日の8日には舞台の一部を公開、上田、井上をはじめ鈴木杏、勝村政信らキャスト陣と、演出を手がける蜷川幸雄による会見も行われた。

日本文学界の鬼才・古川日出男が書き下ろした戯曲を演劇界の巨匠・蜷川が演出する注目作。作品は、清濁の血を併せ持つ伝説の熊猟師と、熊と犬の聖なる戦いの物語。井上、上田が演じる熊猟師の子孫・川下兄弟の愛憎劇が100年の時を越えて描かれる。

ひと筋縄ではいかない戯曲に、蜷川は「理解できなくて大変でした」と笑いながら、「その分頑張ったので面白いですよ」と胸を張り「普通の演劇では観たことのないような、え?これはアリか!というようなシーンがたくさんある。観て良かったら笑ってくれて、拍手してくれて、泣いていただけたら。ぜひ本番を観てください」とアピール。

川下兄弟の弟でエリート商社マンの川下多根彦を演じる上田。2009年に主演した『ロミオとジュリエット』以来2度目の舞台出演だ。初めての蜷川演出に「なんだかんだ、楽しかったですね。勝村さんや蜷川さんにがっつり指導していただいて、そのときはきつかったですけど、今は楽しいです」。勝村が「お金を払ってほしいぐらい」と周囲を笑わせるほどの集中指導があったという。蜷川も「勝村くんや井上くんが手伝ってあげたりして、みんなで作ってました。昨日の通し稽古をみると、才能あるなお前っていう感じでしたね。狂気がすごい」と太鼓判。上田は「狂気を出せば出すほど楽しくなってくる。素の自分の中にもそういうところがあるんでしょうね」と手応えを話した。

一方の井上は兄の川下一、ライフル射撃の選手という役どころ。蜷川作品には2003年『ハムレット』以来の出演となる。「僕は10年ぶりに蜷川さんとご一緒させていただくので、なにしろびびってまして。セリフだけは完璧にいれてこようと思って稽古前に頑張りました」。蜷川さんはこわいですか、と質問されると笑顔で「はい」と応えた井上に、蜷川が「(蜷川の舞台には)出たくないって雑誌で公言してた」と突っ込みながら、「普段の井上くんでは、見たことないようなシーンがたくさんあります」と期待をあおる。

鈴木杏は多根彦の婚約者で女詩人のひばり役。彼女の登場が兄弟の運命を大きくゆるがせていく。「蜷川さんの舞台は、稽古からものすごく本気で向かっていかないといけない。そのプレッシャーはありました。OKをもらって、そこからまた課題を出され、それを乗り越えていくっていうのが半分怖く、半分楽しんで今回もやっていました」と話す彼女に、蜷川は「大人のイイ女になりましたよ」と笑顔で話していた。

公演は1月9日(木)から2月1日(土)まで東京・シアターコクーン、2月7日(金)から12日(水)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。東京公演については現在、中2階立見券をチケットぴあのみで発売中。