マンション相場サイト「マンションマーケット」を運営するマンションマーケットと日本経済新聞社は業務提携し、日経IDでログインして必須項目を入力すると、自宅マンションの「Web査定結果」がわかるサイトとして「東京レジデンスマーケット」をオープンした。 マンションマーケットは2014年設立の不動産テック企業。物件データベースと、取引事例や相場情報といった価格データ、AIなどを組み合わせ、Web上で即座に参考査定価格を表示する査定サービスを展開する。こうしたサービスは増えており、乱立の様相を呈している。人を介さず、即時に査定結果を表示する仕組みは、一般消費者が間違わずに入力できる覚えやすい名称・ブランドなら、マンション以外にも応用できる。技術的な視点からも注目したい動きだ。

今回オープンした「東京レジデンスマーケット」は、「住宅マネーについて考える不動産メディア」と謳い、不動産やマネーに関する日経電子版の記事も紹介している。目玉機能の「カンタンWeb査定」では、登録にあたり、業種・職種・役職・勤務先従業員規模が必須。任意で勤務先情報の入力も求められ、「日経ID」でのログインが必要となるものの、「会員登録・ログイン後の会員情報はマンションマーケットで保持される」と明記している。その注釈通りなら、日経側に情報は渡らないということだ。

とはいえ、別の同様の仕組みのマンション査定サービスでは、FacebookなどのSNSをログインIDに利用しているケースもあり、Webサイトの閲覧履歴と、人によっては他人に知られたくないであろう自宅の資産価値(購入価格・現在の売却参考価格)がターゲティング広告の参考として回っているとみていいだろう。

査定後、オーナー登録すると、定期的に最新の参考査定価格がメールで届く。まずは事例の蓄積が多い不動産から始まった、モノの価値(バリュー)の「見える化」は、消費のあり方を変えるかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)