レンズ交換式デジタルカメラでのキヤノンのシェア

キヤノンは3月28日、レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ・ミラーレスカメラ)の世界市場において2003年~2017年の15年連続で台数シェアNo.1を達成したと発表した。この発表を受け、過去10年間の同社シェアの歩みをまとめた。

「EOS Kiss Digital」から始まったキヤノンの快進撃

まず同社の発表に基づき、これまでの歩みを振り返ろう。キヤノンは03年に、当時黎明期にあったデジタル一眼レフとしては小型・軽量で低価格のエントリーモデル「EOS Kiss Digital」を発売。市場拡大のきっかけを作り、初の世界シェアNo.1獲得の原動力となった。

以降、プロ向けの「EOS 1D」シリーズ、一般向けにフルサイズセンサー搭載モデルを普及させるきっかけになった「EOS 5D」シリーズなど、時代を切り拓く製品を開発し、12年には満を持してミラーレス一眼「EOS M」を投入。カメラ、交換レンズ、各種アクセサリで構成する「EOSシステム」を拡大してきた。

国内でも当然シェア1位 後発のミラーレスでもトップシェア目前

家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、キヤノンは07年を除き、レンズ交換式デジタルカメラでメーカー別販売台数1位を獲得。主力の一眼レフでは、14年以降、シェアは5割を超えており、16年、17年は6割を突破。ほぼ1強状態だ。

一方、オリンパス、パナソニック、ソニーの3社が競っていたミラーレス一眼では後発だったキヤノン。追う立場の同社だったが年々頭角を現し、参入から3年後の15年は3位、16年、17年は2位につけた。今年1月~3月の累計では、シェア25.9%を占め、1位のオリンパスにわずか0.2ポイントまで迫り、トップシェア目前だ。

この10年間に生まれたロングセラー機種は、「EOS Kiss X5」や「EOS Kiss X7」など多数。3月23日には、エントリー向けの「EOS Kiss」のブランドを初めて冠したミラーレス一眼の新製品「EOS Kiss M」を発売。3月29日には、一眼レフの「EOS Kiss X90」も発売した。

早ければ18年には一眼レフを上回ると同社が予測するミラーレス一眼での1位獲得に向け、長年、多くの初心者ユーザーの支持を集めてきたキヤノンの攻勢はますます強まりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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