写真右上から、ベータ21、針が1本付いた八角形のペンダントウォッチ、二挺天府とアラームを備えた櫓時計、携帯型の日時計、天体の動きを再現したクロック
  

時計の歴史を知るまたとないチャンスです。

100円均一でも腕時計が買えてしまう今の時代、どこにいても「時間」を知ることができるのは当たり前のこと。しかし、今のように「正確な時間を知る」までには人類のとてつもない挑戦の連続があったことをご存知でしたか?

 

その挑戦の歴史を「美しい高級時計」を見ながら体験できる展覧会「The Mastery of Time - 時を知る」が、2月7日から東京の六本木ヒルズ内、けやき坂に面した多目的スペースumuで開催されることになりました。

世界の中で最も時計産業が有名な国といえばスイス。この展覧会は「日本・スイス国交150周年」を記念したイベントの一つで、スイスに拠点を置く「高級時計財団」により、世界的にもかなり貴重な時計コレクションが展示されることになっています。もちろん、そのほとんどが日本初公開! もう二度と見ることができない貴重なチャンスです。

一体、どんな時計が展示されるのか? ここでは一足先にそのコレクションを少しだけご紹介していきます。

 

携帯型の日時計

18世紀初頭、国際時計博物館蔵 ©Dominique Cohas / 高級時計財団 ジュネーブ スイス

18世紀初頭の「携帯型の日時計」。

まるでハリー・ポッターにでも出てきそうな不思議で魅力的な形をしています。手前のコンパスで方角を決め、影を落とす役目の針「グノモン」で時間を読み取ります。

昔から公共施設などで設置されていた「巨大な日時計」を、世界3大発明の一つ「方位磁針」を付けることで携帯化してしまったもの。誰でもポケットの中に「時間」を持ち運べるようになった画期的なアイデアです。

太陽の方角を見つけ、影の落ちる文字を読み取る。時間を知る動作が、なんだか神聖な儀式になりそうな素敵な一品です。

 

針が1本着いた八角形のペンダントウォッチ

 

17世紀前半、国際時計博物館蔵 ©Dominique Cohas / 高級時計財団 ジュネーブ スイス

17世紀前半に作られた懐中時計の元祖ともいえるもの。

ヨーロッパでは15世紀になると機械式の時計が製作されるようになり、技術の発展と共に15世紀後半には懐中時計のような「携帯時計」へと進化していきます。

この時計には、時間を知る針がたったの一本だけ。その代わりに、これでもかというぐらい緻密なレリーフが施され、まるでジュエリーのような美しい時計に仕上げられています。

吊り下げリングが付いているところからも、当時の懐中時計は精度よりもデザイン性、豪華な装飾性のあるものが貴族に受け入れられたようです。確かに、こんな時計であれば首からぶら下げて自慢したくなる気持ちも分かります。

 

 

ロカイユ様式のテーブルクロック

 

18世紀後半、国際時計博物館蔵 ©Dominique Cohas / 高級時計財団 ジュネーブ スイス

時計の歴史は18世紀のころになるとかなり精度が上がってきます。

18世紀後半に作られたこのテーブルクロックにも「分針」が取り付けられ、かなり正確な「時間」を知ることができるようになっています。

よく見ると面白いのが、置き時計なのに中央には「振り子」が吊り下げられているところ。背後には「ベル」のようなものも。

時間をベルの数で知らせられるようにもなっています。デザインも当時の流行「ロカイユ様式」を取り入れているところから、時計が「時を知る」ものから、インテリアの一部「装飾品」として飾られていたことが伺えます。