(左から)黒沢清監督、前田敦子

前田敦子主演の映画『Seventh Code』が公開を迎え、前田と黒沢清監督が都内劇場で行われた舞台あいさつに登壇した。

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前田の4枚目のシングル「セブンスコード」のミュージックビデオとして撮影された本作だが、ローマ国際映画祭のコンペティション部門で準グランプリに当たる「最優秀監督賞」と「技術貢献賞」の2冠を獲得し、期間限定で劇場公開されることに。ある男性に「もう一度会いたい」と強く願う秋子の姿を描き出す。

前田が登場すると劇場のあちこちから「あっちゃん!」という歓声が飛び、夜9時半開始という遅い時間の舞台あいさつにもかかわらず多くのファンで埋まった客席に前田は「映画館でこの作品を観ていただけるのが本当にうれしいです」と満面の笑みを浮かべた。

黒沢監督は前田について「前々から一緒に仕事をしてみたかった」とコメント。映画やテレビなどでその姿を見ていたそうだが「悪く言うと一人だけ孤立していた。たったひとり、他人と違う何かがある。ひとりで生きている強さがにじみ出てくる人は少ないし、女優として貴重」と前田の“ひとりぼっち”ぶりを絶賛。これには前田も「よく分かんないですが、そう思われることは多いかな…?」と苦笑していた。

撮影はロシアのウラジオストックで行われたが、前田は「タイトなスケジュールに気温の変化もすごくていままでの撮影で一番大変でした」と述懐。黒沢監督はシベリア鉄道の出発点であるこの地を選んだ理由について「秋元(康)さんが『ロシアなんかいいんじゃない?』とつぶやいたのがきっかけですが、すごい直感力だと思います。撮影してみてわかりました。世界に向けて旅立つ第一歩、強い目的を秘めて世界へ進出していく最初の街のイメージ」と説明。陽がなかなか暮れない街で撮影は長時間に及んだそうだが、前田について「素晴らしかった!」と惜しみない称賛を送る。

特に歌唱シーンについて「一番感激した」と黒沢監督は興奮気味にふり返る。「役とガラッと変わってプロのアイドルになった」と語り、ローマ国際映画祭の上映の際にも「ウケてました。『この女優スゲー! 歌まで歌えるのか!』と言われてました」と明かす。前田は「監督が素敵な方で、監督のためにどう頑張ればいいのか? と格闘しました。優しいのが私にとっては厳しかった。どう応えたらいいのかと」と奮闘の日々を懐かしそうに振り返っていた。

『Seventh Code』
公開中