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映画の“華”と言えば、無声映画の昔からスターとアクションに決まっている。その役者だけが持つ圧倒的な輝きに、肉体の動きが醸し出す興奮。そういう点では、『大脱出』は問答無用に“華”のある映画だ。何といっても、シルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーという2大アクション・スターの共演作。このふたり、『エクスペンダブルズ』シリーズですでに共演済みだが、同作の場合は後者がゲスト出演の分をわきまえていただけに、ガチで組むのは意外にも思えるが今回が初めてだ。

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スタローンがふんするのは、刑務所をめぐってセキュリティの弱点を指摘する脱獄のプロフェッショナル。何者かの罠にはまった彼は、所在地もわからない警戒厳重な刑務所に投獄される。そこで出会ったのが、シュワふんする牢名主的なカリスマ囚人。たがいに認め合い、彼らは手を組んで脱獄を図ることになる。

タフなムショ暮らしを演じるとなれば、『ロックアップ』で脱獄映画を経験済みのスタローンのド根性キャラが俄然、映える。白光&灼熱仕様の独房に耐えうる、そんな男に説得力をあたえられる稀有な個性と言えよう。対するシュワはポーカーフェイスの頼れるキャラで持ち味を発揮。大型の連射銃を抱えての銃撃戦シーンの雄姿がスローモーションの映像にこれまた映える。スクリーンに映えてこそのスターという意味では両者ともに申し分ない。

肝心のアクションはマッチョなふたりだから重量級であることは言うまでもなく、銃撃戦も肉弾戦もガンガン飛ばす。特筆すべきは力コブが唸る両者の肉弾バトルで、この対決は、ファンには嬉しい見せ場。「アーノルドと共演して、彼と戦うシーンがなかったら観客を失望させることになる。そういう意味では期待を裏切らない」とはスタローンの弁だが、これもまたスターとしての自覚を持つ者らしい自信の発言。「互いを投げ飛ばす荒々しいシークエンスだ」とシュワも胸を張るのだから、迫力は想像できるだろう。

スターとアクションが一体化したド派手な一作。今年はまだ映画館に足を運んでいないという方には、この強力な本作をオススメしたい。

『大脱出』
公開中

文:相馬学