4月4日~6日に開催された今年で5回目を迎えた「先端デジタル テクノロジー展」

登場から数年が経過したAR/VRの技術は、その驚きの体験とは裏腹に企業の活用はいまだ限定的だ。東京ビッグサイトで4月4日~6日に開催された「先端デジタル テクノロジー展」(リード エグジビション ジャパン主催)では、企業のAR/VRを一歩前に進めるソリューションが多く見受けられた。

専用アプリ必須の弱点を克服 「アプリレスAR」

スマートフォン単体で体験ができるARは、現時点でゲームや販促ツールとして利用されていることが多い。分かりやすい例でいえば、大ヒットしたスマホゲーム「ポケモンGO」。位置情報と連動して現実の景色にモンスターが同化し、写真を撮影することができる機能は、SNSなどでシェアされ話題を集めた。

直近では、NTTぷららが3月に限定販売したアプリ「布袋寅泰 新体感ライブ」を発売。ARマーカーにスマホをかざすと、布袋寅泰氏のフィギュアがカメラを通して出現し、360°からギタープレイを鑑賞できるというもので、こちらもARのコンテンツとしての可能性を示してみせた。

ただ両者に共通しているのは、専用のアプリが必要ということ。開発部門をもたない企業は、安易に導入するのは難しいのが現状だ。そこで求められるのはアプリのいらないAR活用だが、オムニバス・ジャパンが展示していた「アプリレスAR」はまさにその手段となりうるソリューションだ。

任意のQRコードをカメラで読み取るとウェブブラウザを経由してカメラが起動。ARマーカーで映し出すとプログラムした映像が出現する。オブジェの周囲を泳ぐ金魚が参考展示されたが、動きは滑らかで、オブジェの背面にまわりこむ様子も描写するなど、表現力は高かった。

まだ実用化はしていないとのことだったが、サービスを利用する側はARコンテンツを用意するだけですむので、専用アプリの開発が欠かせなかった従来と比べると、ハードルはだいぶ低い。ユーザーにしても、その場にあるQRコードとARマーカーを読み取るだけで、手間がかからない。企業のPR目的だけでなく、観光地やイベントのコンテンツとしても活用できそうだ。

五感で感じるVR 組み合わせてさらに没入

コンシューマ向けよりアミューズメント施設で導入が加速しているVRは、視覚体験のさらなる没入を他の五感に求める展示が多かった。コーンズ テクノロジーが国内総代理店を担う「UHDK5」は、超音波を発生するトランスデューサーアレイと手の動きを検知するチープモーションによる触覚の疑似体験デバイス。単体でも利用可能だが、VRと組み合わせることで、双方の感覚がよりリアルに近づくことをアピールしていた。

まず、体験したのはVRなしでボタンを押した感覚を再現する展示。超音波は空気の壁が手にぶつかっている感覚に近い。ディスプレイのボタン付近に手が触れるとポコっとした手応えがある。この技術はすでに欧米で自動車向けに実用化されており、視認しなくてもジェスチャーで操作できるシステムとして採用されているという。

記者の正直な感想を述べれば、たしかに感覚はあるのだが再現度はまだ途上。現実の質感にはまだまだほど遠いように感じた。だが、これが視覚をヘッドマウントディスプレイで覆い、映像が連動すると印象が一変する。手からさまざまな魔法の波動を出すというコンテンツを体験したが、指から稲妻を放つときは若干の痺れが伴うし、オブジェクトに触れる際は、ちょこんという手触りが伝わってきた。

もちろんデバイスの性能が向上したわけではなく、視覚に触覚が引っ張られているのだが、ここまで錯覚してしまうものかと感心した。展示の中にはさらに香りや温度を加えた全身で仮想現実を体感する装置も設置していたが、疑似感覚を複合すれば、現在の技術でも数段上の疑似体験が可能であることを実感できた。

元年と謳われた2016年から2年が経過し、普及に懐疑的な声も出ているAR/VR。しかし、その歩みはゆっくりではあるが前進している。企業やユーザーは利用コストを理由にまだ様子見をしているようにみえるが、もしこのハードルが取り払われたなら、じわじわと広がることは十分に考えられる。法人活用やコンテンツの成功例がそのモデルケースを示せば、そのスピードは想像よりずっと速くなるかもしれない。(BCN・大蔵 大輔)

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