モテたい男性はピアニストを目指すべき!?

――異業種として、お互いに聞いてみたいことはありますか?

諏訪部:やはりピアニストはモテますか?

撮影:市村岬

反田:高校生の頃は音楽学校に通っていて、しかも僕が行っていたのは、女子高等学校(男女共学)という女子比率が圧倒的に高い学校だったんです。校舎に普通科もあったんですけど、数千の女子対50人くらいの男子という比率で。それだけ比率が違うと、マジックが起きるんですよ(笑)。ある時コンクールで日本一になって、そこから半年間の期間で大体クラス1つ分くらいは連絡が来たりしました。

諏訪部:おぉ~! すごい!!

――もう誰と連絡を取っているかわからなくなりそうですね。

反田:当時僕はPHSを使っていたから、みんなが手紙をくれたので大丈夫でした(笑)。でも、その頃は恋愛にまったく興味がなかったんです。自分のやらなければいけないことに追われていて。

諏訪部:それどころではなかったんですね。

反田:でもやっぱり全体的にみてもピアニストはモテるとは思います。声優さんもそうですか? めちゃくちゃ良い声だから。

諏訪部:そんなことはないですよ。学生時代は特に技能を披露するような場もないですから(笑)。それと比べて、楽器の演奏というのはインパクト大。ちょっと立ち寄ったバーに置いてあってピアノを「ちょっといいですか?」なんて弾きだしたら……確実に好感度アップですよね。

反田:それカッコイイですよね(笑)。僕は普通のクラシックしか弾けなくてジャズは弾けないので……。

諏訪部:いやいや、クラシック最高じゃないですか。カッコイイですよ!

反田:じゃあ今度やってみます(笑)。

諏訪部:ぜひお試しください。いやぁ、いいですね~。声優の利点なんて、ちょっと声が通るので、騒がしい居酒屋なんかでも店員さんを呼びやすいくらいですから(笑)。

諏訪部順一さん 撮影:市村岬

――反田さんから声優の諏訪部さんに聞きたいことはありますか?

反田:やっぱり声帯の管理はどうやってやられているのか気になります。

諏訪部:個人差あると思うのですが、自分はそれほど神経質になっていることはないですね。声を使い過ぎたら多少は喉休めを意識するくらいでしょうか。手洗いうがいの励行など、日常的な体調管理はしておりますが。

反田:それこそ花粉の季節なんて……。

諏訪部:自分も花粉症なので、シーズン中は必ずマスクをしています。風邪などのときもそうですが、薬を飲んだりして早め早めの対応ですね。お酒が好きでよく飲むのですが、飲酒中はあまり大声を出さないようにはしていますね。カラオケに行ったりすることもありません。

――酔っ払ってテンション上がっちゃって……などは?

諏訪部:盛り上がるのは好きなのですが、大きい声で自分が話すのも、他人が話しているのを聞くのも、実はあまり好みではなくて。オフタイムはわりとボソボソしゃべってる感じです(笑)

反田:僕は今日、声優の方に初めてお会いしたんですが、めちゃくちゃ良い声なので、すぐにバリトンとか、テノールとか配置振り分けをしてしまうんです。こういう合唱のソロは良い声なんだろうな~とか。合唱とかぜひ歌ってもらいたいです(笑)。

諏訪部:面白そうですね。ここ数年、生演奏とコラボレーションする音楽朗読劇に数多く出演しているのですが、そこでクラシックの演奏家の方と御一緒することが多く。みなさん本当に個性的で面白いんですよね。エレガントだけどちょっと変、という人が多いような(笑)

反田:本当に変な人しかいない、変な人しか残っていかない気がします(笑)。

阿字野は良い先生ですよ

諏訪部:クラシック楽器のプロ演奏家の方たちは、幼少期からずっとその道を歩んできたという方がほとんどみたいですからね。常に生活の中心に練習があって。育ってきた環境が独特というせいもあるのか、一般的なものとはちょっと違った感覚をお持ちの方が多い気がするんですよね。

反田:そうだと思います。でも僕はかなり遊んでいた方だと思うんですよ。167時間練習しなさい、っていうような環境にはいなかったので。僕は2週間に1度、30分のレッスンに行くっていう幼少期だったんです。その間ずっとサッカーをやって遊んでいたので。

諏訪部:めちゃくちゃ異端児ですね。

反田:高校生のときは金髪でした(笑)。

諏訪部:え~! まぁ自分は四十半ばで金髪ですが(笑)。

反田:だけど、みんなそれこそ(カイのライバルの)雨宮くんみたいにネクタイしてサスペンダーして登校する子が多いんですよ。僕は、カイの幼少期みたいな格好でビーチサンダルでレッスンを受けに行ったりしてて、すごく冷たい目では見られていました。

©一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ
©一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ

僕はある種、動物的なところがあって。たとえば、「これをやりたい」とか「この人に会いたい」と思えば、僕は絶対に会えるんですよ。直感があって、「やれる」と思ったら絶対にやろうとは決めているので。だから、ピアノはなんだかんだ好きだったからというのはあるんですけど、ずーっと続けられました。「継続は力なり」と言いますけど、本当にそうなんだなって思います。

――幼少期は2週間に1回のピアノのレッスンで楽しかったと思うのですが、その後、ピアノが辛いなと思ったことはなかったんですか?

反田:小学6年生の頃まで適当に弾いていて。先生が本当に優しくて、「好きな曲を好きなように弾けばいいよ」という方だったんです。それが高校生から、阿字野とはまた違うんですけど、かなり厳しい先生になって。そこで、「なんでこんな風にピアノを弾いていなければならないんだろう」と思う時期はありました。でもやっぱり、ある程度の年齢を越えて、先生が言っていたことは絶対に大事だったんだなと感じます。

だから阿字野は、良い配分なんですよね。カイは一般の進学校に通っていたと思うんですけど、それを選択した阿字野の目も良かったと思います。普通に音楽だけやっている人だと、一般の常識と言われているものをわからないまま音楽家になってしまう方が多い。よく聞くのはまったく料理をしないとか。そういう常識を身に着けられないのは僕もどうかと思いますし。その点、阿字野は海がどういうことをやろうが温かく見守っていたので、良い先生ですよ。