生瀬勝久  撮影:井出絵理奈 生瀬勝久  撮影:井出絵理奈

演劇界の最強の3人が再び、動き出した。生瀬勝久、池田成志、古田新太による演劇ユニット〈ねずみの三銃士〉の第3回公演『万獣こわい』が2014年春、PARCO劇場にて上演される。生瀬、池田、古田の3人に宮藤官九郎(作)と河原雅彦(演出)の鉄壁タッグが息を合わせ、これまでに第1回公演『鈍獣』(2004年)、第2回公演『印獣』(2009年)を上演。ミステリアスな展開の中に笑いを存分に盛り込んだ、スプラッターの加速する衝撃作を生み出してきた。奇しくも5年サイクルで復活する最強ユニットの新作を前に「前の2作のDVDを観てみましたが面白かったですね~!」と振り返るのは、最年長メンバーの生瀬勝久だ。

舞台『万獣こわい』チケット情報

「それぞれに対する取り組み方の違いが見ていてわかるんですよ。『鈍獣』では自身初の宮藤作品、河原演出だったので“頑張らなきゃ”と気張ったのか、キャラクター作りにずいぶん苦労しました。それが『印獣』になるとアプローチの仕方がスムーズになっている。次の3回目で自分がどのような結果を出すのか、楽しみですね」

古田、池田との関係性を「本当にバランスの良い3人だと思う。誰かが欠けたらダメになる」ときっぱり。ユニット内のそれぞれの役割を、笑いを交えて教えてくれた。「古田君は誰もが認める役者ですからね。芝居に対して彼なりに目指すところがあると感じられる、とても頼れる人です。成志君は“しんどい”とか“どーなってんだよ、これ”とか文句が多くてお前が言うな!って思うんですけど、文句言いつつも最後まできちんとやってくれる人なので、ま、耳をふさいでいればいい(笑)。たぶん僕が一番いい加減だと思います。“昨日のアレが面白かったのに、なんで今日同じことをやらないんだ!? ”ってしょっちゅう言われます。しょうがない、俺、飽きちゃうんだから。まだ何かあるんじゃないかな~と試していくうちに千秋楽までいっちゃうんですね。ハッハッハ」

このひと筋縄ではいかない個性の融合が、生瀬の言う“絶妙のバランス”なのだ。ゲストに小池栄子、夏帆、小松和重と、魅力の顔を揃えた第3回の物語も「もちろん事件が起こるでしょう」。だが狙うのは前2作からの想像を裏切る、意外性に満ちた劇空間だ。「鈍獣、印獣と来て、ちょっとハズした今回のタイトルですから。これも“また来たよ”とは思われたくない宮藤君の気持ちの表れでしょう。やっぱり新しい世界観を作りたい。“またあの3人が戻ってきた!”なんて言われても、戻ってこないよ! 違うところに行くよ!ってね(笑)」。

演劇シーンを揺さぶり続ける“三銃士”が放つ、裏切りの誘惑。その行方を見過ごすわけにはいかない。3月15日(土)から4月8日(火)まで東京・PARCO劇場にて。その後、長野、新潟、愛知、大阪、札幌、福岡、沖縄でも公演。なお、チケットぴあでは インターネット先行・プレリザーブを実施。新潟公演は1月16日(木)午前11時まで、東京公演は1月20日(月)午前11時まで、愛知公演は1月23日(木)午前11時まで受付。

取材・文 上野紀子