光と音と人とが創り出す“ラブ空間”に酔わされる

場の雰囲気や空気感が恋に落ちやすくしたり、ロマンチックな気分を盛り上げることもあります。次にイルミネーションが及ぼす身体的・心理的刺激について考えてみましょう。

まず、ルミナリエやクリスマスのイルミネーション共通の華やかな光群。あまりの美しさに会話もそこそこに、その光に目が釘づけになったという経験はどなたにもあるのではないでしょうか?

さらに雰囲気を高めるために、イルミネーションで彩った場所には大概光だけではなく音楽が利用されています。すると視覚刺激をライトアップに、聴覚的刺激を音楽によって導かれて、それ以外の刺激をかき消される状態になるのです。これを心理学用語では、刺激統制と呼びます。

刺激統制の面白い作用は、ちょっとした空間を確保することによって、プライバシー感を高めるということ。たとえば大勢の人がいる中でも、二人掛けのベンチや木の下で抱き合ってキスをするカップルがちらほら見られるのが証拠。まるで自分たちしかそこにはいないと錯覚させるのです。

さらに集まった人々が作り出す効果も見逃せません。それは、みんなと同じことをしたいという心理学的行動(社会的比較)とその”場の空気を活性化する“という作用。折しもそこは、ラブラブのカップルの多い場所ですから、自然にラブムードが盛り上がるということは想像に難くないでしょう? つまりこれらの作用によってできる、”ラブ空間“に酔わされてしまうのです。

 

薄暗さが自己抑制、警戒心を緩め、ハートを開かせる

自分たちにスポットライトが当たるわけではなく、ライトアップされたものを薄暗がりから見るという状況も恋愛感情に影響します。

そこで注目したいのが、心理学者ガーゲンの実験。お互いに誰だかよくわからないような暗闇の中では、自分自身をさらけ出すことへの抑制が取り払われるために、警戒心が緩み、本音が出たり、ハメをはずすことができるようになるということがこの実験で証明されました。

その後も、他の心理学者たちの実験によって、陽の入る明るい喫茶店より、バーなどの暗いお店などの方が、カップルが生まれやすいという報告もあります。

さらに付け加えるなら、自分をさらけ出して見せる人に、人は好意を持つ作用があるということ。つまり薄暗い場所にいるふたりは急速に親密感が高まる状況にあるということなのです。