芸術監督金森穣が10周年を迎えたNoismを語る

2014.1.16 19:9配信
金森穣 金森穣

Noismが、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館に設立されて10年が経つ。“日本初の劇場専属舞踊団”として新潟を拠点に熱心に活動を続け、今や活躍の場は日本国内にとどまらない。芸術監督としてNoismを率いる金森穣に話を訊いた。

Noism 公演情報

「やっと最初の一歩を踏み出せた感じです」と金森は言う。「この10年は劇場の事業のひとつに過ぎなかったNoismを、ようやく新潟市が文化行政としてバックアップしようという動きになったんです」。現在は、メインのカンパニーであるNoism1と、若手による研修生カンパニーNoism2の2チーム体制をとり、20人以上のメンバーが日々、鍛錬と創作に打ち込んでいる。「市民への認知度を上げることを考えながら、国内のほかの劇場とも連携をとり、海外へも積極的に出て行きたいと思います」。

さらに飛躍をめざすNoismがまもなく横浜で上演する『PLAY 2 PLAY-干渉する次元』は、彼らを語る上では欠かせない演目で、金森自身「大切な、思い入れの深い作品」と称する。2007年に初演され、建築家の田根剛、作曲家のトン・タッ・アン、ファッションデザイナーの三原康裕が、空間、音楽、衣裳を手がけるというコラボレーションの新しさで注目を集めた舞台だ。

「“PLAY”という言葉だけを3人に託して、後は自由に発想してもらうという企画でした。そこから干渉、あるいは関係性というテーマにつながっていんたんですけど、その裏には、退団していくメンバーへの送別という思いが実はあったんです。その結果、身体論から発想した舞台とは違う味わいになって、師と仰ぐ鈴木忠志さんからは『君の精神性が初めて見えた気がする』という言葉をいただきました」。

再演となる今回の大きなトピックが、金森の出演だ。最近は振付・演出に徹してきた金森が2年半ぶりに舞台に立つ。「“想念としての他者”という存在を登場させることにしたんです。3.11を経て思うのは、人間が関わっているのは、目に見える存在だけではないはずだということ。亡くなった人かもしれないし、久しく会っていない人かもしれないし、自分が理想としている人かもしれない。自分の内側に想起される他者っていうのが我々一人ひとりに計り知れない影響を与えて、人間はその上に成り立っているんだっていうことを強烈に感じるんです」。

隅々まで細やかに表現されたNoismの舞台は、磨き抜かれた身体性なくしては成立しない。この作品を観ると、人間の身体について改めて思いを深める観客も少なくないだろう。「舞踊においては、言葉を使えないので、遠く離れていてはコミュニケーションが難しいけれど、一方で舞踊には、他者に触れ、他者の重みを感じ、他者に身を委ねるという、身体の根源的な姿があるんですよね。新潟公演を観に来てくれた剛は『初演時に増して強烈に“触れる”ということを感じた』と言っていました」。

Noism1 『PLAY 2 PLAY-干渉する次元』 (改訂版再演)は、1月24日(金)・25日(土)にKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて上演。チケット発売中。

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