『エンダーのゲーム』を手がけたギャビン・フッド監督(c) 2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

1987年に日本で刊行された伝説のSF小説を映画化した『エンダーのゲーム』が18日(土)から公開される。SF界の権威“ネビュラ賞”と“ヒューゴー賞”をダブル受賞した原作小説は熱狂的なファンも多く、ギャビン・フッド監督は長らく“実写化不可能”と呼ばれたプロジェクトに挑むことになった。

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本作は、異性生命体との戦争終結という使命をおった少年エンダーが、訓練を通して成長を遂げていく過程と、彼を待つあまりに過酷な運命を描いた超大作。これまでにも実写化などのウワサがあったが、『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』を成功させた南アフリカ出身のフッドが監督に就任した。

本作には数々のVFXシーンが登場するため「映像技術の面で長らく実写化不可能だったのでは?」と思いがちだが、フッド監督は実写化の“真のハードル”は別のところにあったという。「通常、スタジオが好む映画というのはもっと単純な内容の作品で、例えば主人公に何か良からぬことが起こって、主人公が悪者たちと戦うというところで終わるような作品です。しかし、『エンダーのゲーム』はもっと複雑な内容の作品です。この原作のエンディングはとても力強い内容になっていますが、大きなスタジオは懸念したんです。スタジオが進んで作るような作品ではないと判断したことから、私たちは国際的な市場に自分たちで売り込んで資金を集めなければなりませんでした」。

さらに本作は、エンダーという複雑な出自と感情をもった少年を主人公にしている。彼が迷い、考え、悩みながら成長していく様を繊細に描ききらなければならない。「原作で著者はエンダーの道徳観や感じているプレッシャー、彼の葛藤を素晴らしく描いていました。そこで私は観客にこの少年に共感してもらわなくてはいけないと思ったので、観客とエンダーをずっと一緒にいられるようにしました」。ちなみにエンダーを演じたのは『ヒューゴの不思議な発明』で主演を務めたエイサ・バターフィールドだ。「エンダー役はもろくてシャイでいながら、終盤ではハリソン・フォードと対等にちゃんと向き合えるような男になっているという役柄。エイサ・バターフィールドには、子役でありながら厄介なバランスを求めました」。

少年が戦争下で学び、悩み、否応なしに戦うことで成長していく。日本のコミックやアニメーションが繰り返し描いてきたモチーフが本作でも描かれており、日本の観客は新しさと同時に親しみやすさを感じるのではないだろうか。「『エヴァンゲリオン』という作品は認識していて、若い少年にプレッシャーがかかっているという内容など、この『エンダーのゲーム』ととてもよく似ている部分があると思います」。

日本のアニメやポップカルチャーに親しんだ観客は本作をどう観るのか? ハリウッドの大手スタジオが懸念したというエンディングとは一体、どのような内容なのか? 長らく“伝説”と呼ばれてきた物語が明日、ついにスクリーンに登場する。

『エンダーのゲーム』
1月18日(土)公開